CPUにCore i7-6700Kを採用していることは冒頭でも紹介した。これによりデスクトップPC級のCPUパフォーマンスが得られるわけだが、ここでモバイル向けCPUとの違いについて触れておこう。
大きな違いの1つ目はパッケージだ。多くのモバイル向けのCPUは、基板に直付けするBGAを採用しているのに対し、デスクトップ向けCPUは、着脱が可能なLGA 1151ソケットを採用する。これは先の内部写真でチラッと見えているレバーからも分かる。BTOには、同様にデスクトップ向けのCore i5/i7を搭載するモデルが用意されている。
次に異なるのは動作クロックだ。本製品が採用するCore i7-6700Kは、定格が4GHz、Turbo Boost時には4.2GHzに達する。例えば、モバイル向けのクアッドコアモデルの第6世代Coreプロセッサで探すとCore i7-6920HQが現在最高クロックだが、定格で2.9GHz、Turbo Boost時で3.8GHzになる。
メモリはDDR4 SO-DIMMを採用しており、メモリスロットは4本。本製品ではそれを全て16GBモジュールで埋めており、トータル64GBのMAX仕様だ。ゲームに限れば64GBもの容量を使うことはない。ただし、これだけの3Dパフォーマンスがあれば、3DCGや映像制作などでも十分に通用する。そうした大容量メモリを求めるニーズにも対応できスペックだ。
ストレージは冒頭で紹介したとおりPCI Express 3.0 x4接続のM.2を2基RAID 0とし、データ用には2.5インチHDDを1基搭載している。まず、M.2 SSDは1基で2GB/秒を超える転送速度を実現したSamsung製のSM951シリーズ「MZHPV512HDGL-00000」、容量512GBモデル採用している。2基のRAID 0が基本構成で、容量は1TB、シーケンシャルリードでは実測でも3GB/秒に迫るスコアを記録した。もう一方のHDD側はSeagate「ST2000LM003」。速度ではM.2 SSDのRAID 0に遠く及ばないが、容量は2TBと9.5mm厚のHDDでは最大容量だ。
ネットワークは、1000BASE-T対応のKiller製E2400有線LAN×2基と、IEEE802.11b/g/n対応の無線LAN/Bluetooth v4.0+LEコンボモジュール(Realtek製RTL8723BE)を搭載している。まず、2系統のギガビットLANは、双方をネットワークに繋げることで、アプリケーション毎に帯域を割り当て、オンラインゲームにおいては速度や応答性の低下を抑止できるとされている。こうした仕組みはデスクトップ向けのゲーミングマザーボードで採用が進んでいるものの、ノートブックPCではまだ珍しい。
なお、NEXTGEAR-NOTE i71101シリーズの中でも最上位構成の本製品は、そもそも“全部入り”なのでほとんどカスタマイズ項目がないが、CPUグリスと無線LANモジュールについては選択肢が用意されている。
ゲーミングPCにおいて無線LANは予備といった位置づけになると思われるが、標準構成のほか、Intel製のDual Band Wireless-AC 3160(最大433Mbps)やDual Band Wireless-AC 8260(最大867Mbps)、Killer製のWireless AC N1525(最大867Mbps)などが選択肢として用意されている。
サウンドに関しては、コーデックにRealtek製チップを、その上でソフトウェアDSPとしてSound Blaster X-Fi MB5を採用している。本製品の場合、ノートPCで一般的なマイク入力、ヘッドフォン出力に加え、光デジタル音声出力やライン入力も備えているので、本体内蔵のオーディオ機能として見ればかなり充実した仕様と言える。
このほか、液晶ベゼル部分にはWebカメラとその左右にマイクが内蔵されている。Webカメラは200万画素とごく一般的なスペックだが、マイク側は左右独立とすることで録音時のノイズを軽減する機能を備える。ゲーム実況で活躍しそうな機能だ。
スピーカーは左右のヒンジ部分にステレオを、本体底面にウーファを備える2.1ch構成だ。スピーカーは、筆者がメインで使用するモバイルPCと比べるとはるかによい音で、ウーファによる低音側もゲーム中の臨場感を高めてくれる。もちろん上級を求めるならば、本製品に備わった出力端子を用いればよいが、本体だけでもノートPCとして見ればかなり上質と言えるレベルのサウンドを実現している印象だ。
本体側面のインタフェースについては先に触れたが、その中から特徴的なものをピックアップして紹介しよう。まずはディスプレイ出力。本製品には3系等のディスプレイ出力があり、HDMIと2系統のMini DisplayPortにより、本体液晶と合わせて4画面の出力が可能になる。HDMIも4K出力に対応するHDMI 2.0なので、4Kの4画面出力ができる計算だ。
また、USB 3.1 Gen2 Type-C兼Thunderbolt 3ポートにも注目したい。USB 3.1 Gen2自体、現在まだチップセットに統合されていない都合、これを搭載するノートPCは珍しい。本製品の場合、Intel製USB 3.1 Gen2チップを搭載するため、さらにThunderbolt 3も利用可能というわけだ。Thunderbolt 3対応機器の普及はまだ先だが、USB 3.1 Gen2とType-Cを利用できるところは、購入後の拡張が難しいノートPCとして見ると心強い。
グラフィックスは、先述の通りGeForce GTX 980Mを2基、SLI構成で載せている。GeForce GTX 980Mのポイントは、下位モデルと比べてより多くのシェーダーを積み、より高いクロックで動作する点や、8GBという大容量のメモリを搭載している点だ。特に本製品は4K液晶を搭載することもあり、より高い解像度、より高画質の設定になれば、それだけグラフィックスメモリの容量が要求される。例えば、Grand Theft Auto Vの最上級画質となると8GBのグラフィックスメモリをフルで使用する計算になるが、本製品ならその要求に応えるだけの容量を1基で実現しているわけだ。
なお、本製品の性格上、NVIDIA Optimusや、マウスコンピューターのほかの製品に見られるような「GPU Switch」機能は搭載していない。グラフィックス機能は常にGeForce GTX 980Mを利用することになる。ただし、SLIに関してはNVIDIA Control Panerl内のSLI設定項目でオン/オフを行う。ドライバのアップデート時などに、強制的にオフになってしまうこともあるので、普段とパフォーマンスが異なるような場合にはここをチェックしたい。
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