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» 2016年03月03日 19時30分 公開

SOHO/中小企業に効く「ポータブルHDD」の選び方(第2回):法人向けポータブルHDDに求められる“大事な機能”って? (1/2)

USBバスパワーで駆動し、大容量データの持ち歩きに活躍するポータブルHDDの選び方を紹介する本連載の第2回目は、法人向けのポータブルHDDで求められる機能および製品を選ぶに当たって気を付けるべきポイントをチェックしていく。

[山口真弘,ITmedia]

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法人向けのポータブルHDDでは「ハードウェア暗号化」が望ましい

 ポータブルHDDは、ホームユース向け、法人向けともにハードウェアとしての構造は基本的に大きくは変わらず、接続方法も多くのモデルでUSBを採用するなど、違いは見られない。では何を持って「ホームユース向け」「法人向け」を分けているのかといえば、セキュリティ機能の有無にある。

セキュリティをアピールする法人向けポータブルHDD セキュリティをアピールする法人向けポータブルHDD

 ポータブルHDDはUSBメモリのような製品と比べて容量が大きいだけに、盗難や紛失によってデータが漏えいすれば、その被害は大きいものとなる。法人ユースの製品において、セキュリティ機能は欠かせないものと言っていいだろう。

 セキュリティ機能といえば暗号化を指すが、ソフトウェア方式とハードウェア方式の2種類があるので注意が必要だ。ソフトウェア暗号化は、単に暗号化ソフトをパッケージに添付しているだけで、ソフトを利用しなければデータは暗号化されずにそのまま保存できてしまう。暗号化ソフト経由での読み書きは手順が煩雑なことが多く、読み書きの速度も低下させるため、いつしかソフトを使わずにセキュリティなしの状態でデータを読み書きするようになり、結果として盗難や紛失などでデータの漏えいを引き起こしがちだ。

 これに対してハードウェア暗号化は、本体に専用のチップが内蔵されていて暗号化と復号を強制的に行う。接続時にパスワードを入力するダイアログボックスが表示され、正しいパスワードを入力することで初めて読み書きが可能になる。そのため盗難や紛失などに遭っても、パスワードが合致しない限りデータを読み取られることはない。また、本体からドライブを外して別のマザーボードに装着して読み出そうとしても、読み取りは不可能だ。

 現状、ポータブルHDD一般的には何らかのセキュリティ機能を搭載されているが、そのほとんどは前者のソフトウェア暗号化のタイプだ。パッケージなどに「セキュリティソフトを添付」などと書かれているのですぐに判別できる。

 ハードウェア暗号化タイプは、専用チップが内蔵されている分、価格は高くなるものの、前述のようにセキュリティは強固であるほか、読み書きの速度にも影響を及ぼさないので、法人ユースではハードウェア暗号化タイプを選んでおくことが望ましい。

バッファロー「HDS-PZNU3TV3シリーズ」 バッファロー「HDS-PZNU3TV3シリーズ」

 ちなみにロック解除の方法としてパスワードではなくICカードを用いたり、指紋認証を用いたりする製品もある。こちらも専用のハードウェアが組み込まれている分、価格は高くなるが、毎回パスワードを入力するのが面倒であれば有力な選択肢になりうる。このほか管理ソフトウェアを用いることでパスワードポリシーを設定できる製品や、サードパーティー製の制御ソフトと組み合わせて使える製品もあり、法人向けとしてはニーズが高い。

バッファローのロック解除専用ICカード「OP-ICCARD1」 バッファローのロック解除専用ICカード「OP-ICCARD1」

耐衝撃および防水防塵機能も要チェック

 必ずしも法人専用というわけではないが、法人向けのモデルでとくに注力されているのが耐衝撃機能だ。落下などによる事故から破損を防ぎ、データを守る機能である。

 耐衝撃機能の指針として最近よく用いられるのが、米国の軍事規格であるMIL規格への準拠だ。例えばバッファローの「HDS-PZNU3TV3シリーズ」は、MIL規格の一つである「MIL-STD-810G 516.6 procedure IV」に準拠している。これはベニヤ板を敷いた剛体の上に、全ての角と面、辺から落ちるよう角度を変更しながら、1.2mの高さから26回落下させるというテストだ。テストを行った5つのサンプルのうち一つでも落下後に動作が確認できれば合格という基準になっており、客観的な指針として非常に分かりやすいことから、多くのメーカーが採用するようになりつつある。

ハードウェア暗号化&耐衝撃対応のアイ・オー・データ機器「HDPD-SUT」シリーズ ハードウェア暗号化&耐衝撃対応のアイ・オー・データ機器「HDPD-SUT」シリーズ

 MIL規格は複数の種類があり、基準はそれぞれ異なるが、テストをパスさえすれば内部の構造などは特に問われない。つまりドライブをシリコンゴムなどで保護したり、外装をTPU素材で覆ったりする構造面や、落下を検知して電源を自動的にオフにするGセンサーを内蔵するといった機能の取捨選択は、各社に委ねられている。

 逆に言えば、これら個々の構造や機能をアピールしているにもかかわらず、MIL規格への準拠がどこにも書かれていない製品は、前述のテストにパスできなかった可能性が高い。もちろんテスト自体を行っていない可能性もある。一般論として、MIL規格準拠を明記している製品のほうが、信頼性は高いと考えてよいだろう。

もう一つ、こちらも法人専用の機能ではないが防水防塵性能についても、法人向けの機能としてアピールしていることが多い。こちらについては、例えば防水性であればIPX3相当、防塵性であればIPX5相当といった具合に、JISが定めた保護等級が採用されることが多い。MIL規格と同様に客観的な指標であり、選択の際の目安になるだろう。

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