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» 2016年07月01日 06時00分 UPDATE

MITがFinTechのオンライン講座を開講 世界の先端を行くその講義内容とは? (1/2)

[下中英恵,ITmedia]

 ファイナンス「Finance」とテクノロジー「Technology」の2つを掛け合わせた「FinTech(フィンテック)」。銀行や証券などの金融業界と、IT業界が作り出す新しいビジネスのことを指し、世界中の起業家や投資家から熱い視線が注がれている。日本では、家計簿アプリの「マネーフォワード」やロボアドバイザーの「お金のデザイン」などがフィンテック企業として有名だ。

 そんな潮流がある中、米国・ボストンにあるMIT(マサチューセッツ工科大学)が、2016年6月6日、フィンテックのオンライン講座を開講した。フィンテックを一つの学問として体形的に学ぶという試みは、世界的にも珍しい。その授業内容はどのようなものか、どんな人がこの授業を受講するのか。アメリカにおけるフィンテック学問の最先端の様子を紹介する。

MITアメリカボストンのキャンパス

授業料は2300ドル 起業家たちがゲストスピーカー

 MITは、1861年に創立された世界有数の名門大学。ノーベル賞受賞者を数多く輩出するなど、特に理系分野に強い大学として有名だ。現在は、ボストンにあるキャンパスだけではなく、世界中どこにいても授業が受けられるように、「MITオープンコースウェア」と呼ばれるオンライン講座を数多く開講しており、中には無料で受講できるものもある。

 2016年6月6日に開講したフィンテックのオンライン講座は、全部で12週間。1週間のうちに、8〜12時間講義に参加する必要がある。授業料は全部で2300ドルと、他の講座と比較しても決して安くはない。講義は、MITで教壇に立つ講師陣4人に加え、実際にフィンテックの分野で活躍する起業家31人をゲストスピーカーとして迎えて、授業が進められる。また最終的に絶対評価で70%以上の成績をとると、MITからフィンテック講座の修了証明書をもらえるというオマケつきだ。

MITのモットーに基づいた授業 ビジネスプランの提案も

 MITには、「理論と実践(Mind and Hand)」というモットーがある。人は、数学や科学など学術的な知識や理論だけではなく、それを用いて、仮説を検証するために実際に行動を起こすことが最大の学びである、という学校の教訓だ。学校のシンボルマークにも、ラテン語で「Mens et Manus」とこの言葉が刻まれており、MITの授業はこのモットーを基本にして授業内容が構成されている。今回のフィンテック講座も例外ではない。

 まず講座の前半は、他の受講生と一緒に小さなグループを作り、フィンテック業界の理論や知識を学ぶというもの。MITのモットーでいう「理論」の部分に当たる。シラバスを見てみると、第3回の講義では、具体的なフィンテックの技術、例えばブロックチェーンのアプリケーションがどのようにお金の決済の流れに影響を与えるかということを学習。第5回の講義では、フィンテックが、国が設けている金融規制に違反していないか、また規制を守りながらどのように新しいビジネスを構築するかという点を具体的に学ぶ。

 一口にフィンテックといっても、銀行の送金プロセスの改善、資産運用ポートフォリオの自動作成、新しい仮想通貨の誕生など、その分野は多岐にわたる。また、次々に開発される新しい技術によって、フィンテックは日々進化しており、たとえ金融業界やIT業界で働いている人であっても、どこに新しいビジネスチャンスが眠っているかを把握するのは難しい。毎回登場するゲストスピーカーの生の経験談や、受講者同士のディスカッションによって、さらに知識の理解を深め、今世界で起きている技術革新を具体的に学ぶというのが目的だ。

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