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2016年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5(1/3 ページ)

» 2016年12月26日 06時00分 公開
[山口真弘ITmedia]

 フリーランスである筆者は主に自宅兼事務所で仕事をこなしており、PCおよびネットワーク機器の保有数は、個人と言えどもちょっとした小規模事業者並みだ。また遠征先のビジネスホテルで仕事をすることも多く、モバイルの目線で選んだ製品も身の回りにあふれている。

 今回はそんな筆者が2016年に使ってみた製品の中から、ビジネスユースでも十分に実用的に使えると判断した、「個人で購入できて仕事がはかどるデジタル製品」のベスト5を選んでみた。原則として、同一カテゴリーの中で複数の製品を使い比べた結果、継続利用に至った製品をチョイスしている。製品選択の参考にしていただければ幸いだ。

PC部門:レノボ・ジャパン「ThinkPad X1 Carbon」

 筆者は(このような記事を書いている割には)あまりPCを買い換えないほうで、いったん購入すると継続して数年は使うのが通例だ。そんな中、5年ぶりに購入した新しいノートPCが、レノボ・ジャパンの「ThinkPad X1 Carbon」である。同名モデルの第4世代に当たる製品で、タッチパネルを搭載しないモデルをチョイスした。

 本製品の特徴は、14型にして約1.18kgの軽さを実現していることだ。一般的に、軽さを追求したモデルは画面サイズが13.3型以下であることが多く、14型以上となると、そのほとんどが据え置きを前提とした設計になる。つまり異色の存在なのだが、遠征先のビジネスホテルで腰を落ち着けて作業することの多い筆者にとっては、このサイズと軽さはまさにベストチョイスだった。ディスプレイの解像度もフルHDと申し分ない。

 また何より、キーボード中央に配置されたポインティングデバイス「トラックポイント」が利用できることが大きい。かつては多くのノートPCに装備され、キーボードのホームポジションから手を離さずにポインタを動かせることで愛用者も多かったスティック型ポインティングデバイスだが、ノートPCの薄型化の代償もあり、現在はThinkPadシリーズを除いてほぼ見かけなくなってしまった。本製品は現在の主流であるタッチパッドに加えてトラックポイントも搭載しており、ユーザーの好みでどちらも利用できるのがよい。

 メーカーロゴが目立つベゼル周囲のデザインやむき出しのヒンジはやややぼったさを感じるほか、キーボードもかつての名機群と異なるアイソレーションキーだったりと、不満点が皆無というわけではないのだが、パームレストからの発熱もなく、また液晶ディスプレイは反射の少ないノングレアを採用するなど、ユーザーの快適性を重視した設計は、さすがThinkPadだとうならされるものがある。

 特殊なサイズの製品ゆえ、持ち歩き用のキャリングケースなどアクセサリーの選択肢が少ないのは悩みだが、持ち歩くことを前提に10型や11型といった画面サイズだけにこだわった結果、操作の快適さを損なうのであれば、重量的にはそれらとほぼ同等の本製品を選ぶというのは、賢い選択だろう。着実なリニューアルを果たしたこのThinkPad X1 Carbon、2017年以降の進化も期待したい。

ThinkPad X1 Carbon 1 レノボ「ThinkPad X1 Carbon」。カテゴリーとしてはUltrabookに分類される、14.1型のノートだ
ThinkPad X1 Carbon 2 トラックポイントとタッチパッドの両方を搭載し、ユーザーの好みに応じて使い分けられる
ThinkPad X1 Carbon 3 11型のノートとの比較。二回りほど大きいが、にもかかわらず約1.18kgしかないのは驚異的だ

タブレット部門:ASUS「ZenPad 3 8.0(Z581KL)」

 タブレットには一般的に、画面比率が4:3の製品と、16:10もしくは16:9などワイド比率の製品があるが、筆者個人としては4:3の方が使いやすいシーンが多いと感じる。

 例えばWebページを見る場合、16:10もしくは16:9比率だと、画面を横向きにして表示すると天地が極端に狭く感じられるし、縦向きだと天地には余裕があるものの、幅が窮屈な印象だ。動画コンテンツなど、もともとワイド比率のコンテンツを表示する場合を除いては、4:3の方が使い勝手がよいというのが、筆者の感想だ。

 もっとも、現在市販されているタブレットのうち、4:3の比率にこだわっているのはiPadシリーズくらいで、特にAndroidタブレットのほとんどは、ワイド比率という状況だ。そんな中、Androidでありながら4:3の画面比率を採用し、かつiPad miniシリーズと同じ7.9型ディスプレイを採用したモデルが、ASUSの「ZenPad 3 8.0」だ。

 本製品の利点は、iPad miniシリーズの現行モデルであるiPad mini 4と比べた場合、同じ画面サイズと解像度でありながら、SIMロックフリー対応モデルで実売3万円台半ばと、iPad mini 4のWi-Fi+Cellularモデル(32GBモデルで5万6800円)に比べて、2万円近くも安価なことだ。ちなみに本製品は10型の姉妹モデルもあり、そちらもSIMロックフリー対応ながら実売は4万円半ばと、そのコストパフォーマンスのよさは突出している。

 筆者は本製品と同じ画面サイズのiPad mini 4も愛用しているが、本製品は横向きにした際にスピーカーが左右に配置されるレイアウトゆえ、動画や音楽の鑑賞については、本製品のほうが向いていると感じる。もう一つ、メモリカードスロットが用意されており、必要に応じてmicroSDメモリーカードを追加して容量を増やせるのも利点だ。重量は本製品のほうがわずかに重いが、両者を持ち比べないと分からないレベルで、それほど気にするところではない。

 実際に使った限りでは、ASUS独自のZenUIは使い慣れるまでやや操作が難解なのと、音声を最小レベルに設定してもまだ音が大きすぎるといった細かな問題はあるが、小型で軽量、かつSIMロックフリー対応で外出先でも使える可搬性の高さは、プライベートはもちろんビジネスシーンも含めて幅広く対応できるポテンシャルを感じる。

 発売以来、価格比較サイトでは売れ筋ランキング1位をキープしている本製品だが、2017年に入っても当面その勢いは持続しそうだ。個人的に「2016年のNo.1タブレット」と断言したい。

ZenPad 3 8.0 1 ASUS「ZenPad 3 8.0(Z581KL)」。SIMロックフリーモデルで、格安SIMと組み合わせて外出先でも利用できる
ZenPad 3 8.0 2 背面が硬質なイメージのあるiPad miniと異なり、本製品は滑り止めのラバー加工が施されているのが特徴。サイズはほぼ同じだ
ZenPad 3 8.0 3 iPad mini 4(右)との比較。ツールバーがあるぶん天地のサイズは若干小さくなるが、画面比率はiPad mini 4と同じく4:3で、Webページを表示した際のバランスは良好だ
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