ネットで買った製品に開封した形跡が……あなたならどうする?牧ノブユキの「ワークアラウンド」(1/2 ページ)

» 2017年11月25日 06時00分 公開
[牧ノブユキITmedia]
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 インターネットで製品を注文したところ、パッケージに開封した形跡(開封痕)のある製品が送られてきた経験のある人はいないだろうか。あからさまにそれと分かる場合もあれば、封をしているテープが切られ、その上からもう一度テープが重ね貼りされるなど、明らかに手が加わったケースもある。

 また、こうした開封痕とは別に、パッケージが露骨に汚れていたり、変色・退色していたりする製品が送られてくることもある。よく通販サイトのレビューで「新品じゃない品が届いた」などとキレている人を見かけることから、こうした事態はかなり広範囲で起こっていることが見て取れる。

 つまりパッケージに「開封痕がある」「汚れや退色がみられる」という2つのパターンがあるわけだが、どちらの場合も、現実的に製品に問題があることはまずない。しかし、前者はスルーしても構わない問題であるのに対して、後者は少々根の深い問題があり、次に購入するのは見合わせた方がよいというのが、筆者の見解だ。

 どうしてこのようなことが発生するのかも含めて、裏事情を見ていくことにしよう。

「開封した後のシール二重貼り」はむしろ信頼できる製品

 まず前者、「開封痕がある」というパターンだが、実は販売店で開封したことでそうなったのではなく、メーカーからの出荷の時点でそうなっていることが多い。シールの二重貼りともなると、ほぼ100%がメーカー側で手が加わったと見てよい。

 というのも、これらの「開封した後のシール二重貼り」は、既存の在庫に対して後から取扱説明書やチラシなどを挿入したり、あるいは製品の抜き取り検査を行った際に生じる現象だからだ。いったん開封して製品に何らかの手を加え、それを再度戻して封をすることによって発生するのが開封痕の正体だ。

work around 開封痕と二重シールは検品がしっかりしている証拠と言える

 つまり、開封痕があればあるほど、メーカーは中身をチェックし、必要に応じてメンテナンスをしていることを意味する。むしろプラスに評価すべき事案だ。そもそも、悪意のある第三者が製品に何かを忍ばせるために製品を開封したのであれば、パッケージの開封痕はもっと徹底的に隠すのが普通だろう。

 こうしたわずかな開封痕も許せないという人もいるが、上記のような作業を行うにあたって、開封痕を完全になくすのは現実的に難しい。どれだけ慎重に行っても開封した形跡は残ってしまうし、単価が安いアクセサリーやサプライ品であればあるほど、その都度パッケージを新品に交換すると、コスト的に合わない。

 それゆえ、上記のような作業にあたっては、開封したパッケージの上からテープを重ね貼りして、そのまま出荷してしまうわけだ。この辺り、販売店もある程度慣れっこになっているので、そう問題視はしない。

 神経質な一部のユーザーがクレームを付けてくることはよくあるが、実際は上記のような理由なので、開封したまま開けっぱなしになっているようなケースを除き、気にする必要はまずない。

「メーカー直送なのにパッケージに汚れ」は危険な証

 一方、パッケージが汚れているというのは、少し事情が異なる。発送元がメーカーにせよ販売店にせよ、製品が入庫してから出荷に至るまでのプロセスにおいて、製品のパッケージが目に見えて汚れることはまずない。配送センターでピッキングをする前後を除いては、製品はずっと梱包(こんぽう)に入ったままだし、誰かが手を触れて汚すことはまず考えにくい。

 ではなぜパッケージが汚れた製品が発生するのか。それはつまり、仕入れてから出荷されるまでのしばらくの間、メーカーや販売店の社員でなく一般の客が、製品を自由に手に取れる状態にあったことを意味する。つまり、これらの製品はもともと店頭に陳列されていたもので、それが何らかの理由で通販用に転用されたということだ。

work around パッケージの汚れや退色は、店頭に展示していたためと考えられる

 注文したのがメーカーではなく販売店であれば、こうした事態はよく起こる。店舗と在庫を共用していて、通販でオーダーが入れば、それを店頭から持ってきて出荷するわけである。店頭で客が手に取って触ったものをそのまま出荷するというのは、おろしたての新品を期待していた客は少々複雑かもしれないが、目くじらを立てるほどの問題ではないだろう。

 やや事態が深刻なのは、メーカーの直販サイトから購入したにもかかわらず、こうした汚れが見られる場合だ。なぜメーカーから直接出荷されているのに汚れているかというと、それはやはり先ほどの場合と同様、いったん店頭に並んだ際に汚れたのだと考えられる。退色についても、店頭で長時間光にさらされていたのが原因だろう。

 では、それは一体どこの店に並んだのか。答えは簡単、取引のある量販店だ。量販店に出荷されて店頭で並び、客に触られるなどによってパッケージが汚れたり破損したりした製品は、店の責任で処分する場合もあるが、量販店側が力関係的に強い場合、無条件で良品返品されることが多い。

 本来であればこうした経緯で返品された製品は、検品を行った上でパッケージを交換して新品として再生されるか、あるいはB級品という扱いで、アウトレット販売に回されるのが常だ。B級品としての販売であれば、利用規約にもそれらについての説明が用意されているはずで、問題はない。実際、メーカーの直販サイトの中には、こうした目的でアウトレットコーナーが設けられていることも多い。

 しかしこれらの品が、アウトレットではなく通常製品として出荷されるようであれば、メーカーの品質管理体制がおかしいと言わざるを得ない。なぜなら、いったん販売店に卸した後に戻ってきた製品は、自社の目が届かないところで、何らかの加工が加わっている可能性が否定できないからだ。悪意を持った細工がなされている可能性もあるし、中身が丸ごと入れ替わっている可能性もなくはない。

 いかに未開封の品であっても、取引先から帰ってきてノーチェックの品は、検品基準が異なることからして、もともとの製品とは似て非なる存在だ。それらの混在を認めるメーカーは、他にもユーザーの見えないところで何らかの工作を行っている可能性も否定できない。複数の事業部に分かれているメーカーでも、こうした品質管理の基準は社内で統一されていることが多いので、事業部が違うからといって安心はできない。

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