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» 2018年01月22日 06時00分 公開

スマートスピーカー、流行のトリガーは「オフィス」?──「Alexa for Business」の可能性 (1/2)

アマゾンの音声AIアシスタント「Alexa」搭載デバイスの「Amazon Echo」が流行するきっかけは「オフィスでの利用」かもしれない。法人向けサービス「Alexa for Business」から読み解いていく。

[行武温,ITmedia]

 買おうにも、アマゾンから招待が届かずいつ買えるか分からない、音声AIアシスタント「Alexa」搭載デバイスの「Amazon Echo」。実は、これがビジネスの場面に進出しつつあることをご存じだろうか。

 2017月11月に開催されたアマゾンの年次イベント「AWS re:Invent 2017」で、エンタープライズ向けの音声AIアシスタント「Alexa for Business」が発表された。日本にも上陸したスマートスピーカー「Amazon Echo」が普及率で他社を大きく引き離していることもあり、「Alexaがオフィスにもやってくる」と大きな話題となった。

 オフィスでAlexaを使うとすれば、考えられるのはスケジュール管理や会議システムだろうか。いや、このスピーカーの用途はそれだけではない。

 Alexaはサードパーティー製のソフトウェアと組み合わさることで、単なる「ご用聞きロボット」以上の力を発揮できる可能性を秘めているのだ。

電話機のように「各デスクにスマートスピーカーが1台」という時代が訪れるのか?

仕事を超効率化する「Alexa for Business」の使いみち

 Alexaには「スキル」というシステムがある。スマートフォンで言うところのアプリに当たるものだ。これらを利用することで、Alexaを使ってサードパーティーのサービスを利用したり、データベースにアクセスしたりできる。

 日本語に対応したスキルには、例えば、ニュースや乗り換え案内のほか、「ぐるなび」や「ホットペッパー」などおなじみのサービスもある。

日本語対応スキルの一部

 では、ビジネス向けにはどんなスキルが開発されているのだろうか?

 Alexa for Businessの公式サイトや製品動画では、スケジュール・ToDo管理、会議室の予約、会議システムの代替、備品の注文といった利用例が紹介されている。特にオフィスが広い大企業では、会議室の予約機能や従業員がいる場所を把握できる機能は便利だろう。しかし、これだけなら従来の管理システムで事足りてしまうことも多いのではないだろうか。

 Alexa for Businessをプレビュー版としていち早く利用していた、セールスフォースが開発した同社のAI「Einstein」(アインシュタイン)とAlexaを連携させるスキルは一味違う。

 会議中に利益率など「あの数字はどうなっていたっけな……」という場面でこのスキルを使えば、Alexaデバイスが関連データを教えてくれるのでわざわざExcelファイルを探す手間が省ける。

 先述のイベントで発表された自動書き起こしサービス「Amazon Transcribe」、翻訳サービスの「Amazon Translate」がAlexa for Businessと連携すれば、「会議の議事録→他言語に翻訳→海外のグループ企業と共有」といった作業の効率化も見込める。

 つまり、Alexaのデバイスそのものは、ディスプレイのないスマートフォンやPCのようなもの。どれだけの企業がAlexaのプラットフォームに参加するか、もしくはどれだけの企業が自社のためにスキルを開発するかが、今後ビジネスシーンでもAlexaデバイスが普及するかを決めるカギとなる。

音声操作が普通の時代が来る?

 筆者は、Alexa for BusinessがAlexaデバイスの一般ユーザーへの普及も後押しするのではないかと考えている。「機械に向かって話しかける」ことに恥ずかしさを感じている消費者の心理的障壁を下げるかもしれないからだ。

 Googleが2017年6月に公開したレポートによると、Googleアプリ上で実行された検索のうち20%が音声入力だったという(調査対象は米国国内のユーザー)。20%というと多い気もするが、これはGoogle「アプリ」上の検索であり、ウェブブラウザを介した検索はここには含まれていない。

 日本の消費者を対象にKDDIが行った調査でも、全体の70%以上が「人前での音声検索は恥ずかしい」と回答している。このように、デバイスに(特に人前で)話かけるという行為に消費者はまだまだ慣れていない。

 しかし、オフィスやビジネスシーンでは、ためらわず話しかけられるかもしれない。というのも、仕事という大義名分がある以上、人前であってもデバイスを使わざるを得ないからだ。

 この仮説のように、デバイスが普及することで新たな行動様式を受け入れるという流れは、過去に「モバイル」の際にも見られた。

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