究極のゲーミングノート「NEXTGEAR-NOTE i71130」 税込み75万円超えの“全部入り”で「G-Tune」の本気を試す(3/3 ページ)

» 2018年03月04日 06時00分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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ゲーミングデスクトップに肩を並べるパフォーマンス

 ここまでNEXTGEAR-NOTE i71130のスペックを見てきたが、ここからはベンチマークによってその性能を数値化していこう。

 CINEBENCH R15では、CPUスコアが1388cbと、1000cbを超えるノートPCとは思えない値が出た。CPUスコアも196cbとかなり高い。ただし、デスクトップで検証した際は200cbを超えることもあったので、その点では冷却でデスクトップと比べると多少ハンデのある印象だ。

CINEBENCH R15では6コアのパフォーマンスがストレートに出る

 PCMark 10は、Extended Scoreが8864ポイントで、この時点でかなり高スコアである。Essentialsは10251、Productivityは9551、Digital Content Creationは8438、Gamingは20201となっている。ただし、Gamingのスコアについては、デフォルトのG-SYNCが効いた状態でフレームレート上限が120Hzでの値なので注意してほしい。

PCMark 10 - Entendedのスコア
Extended Score 8864
Essentials 10251
App Start-up Score 14245
Video Conferencing Score 8505
Web Browsing Score 8892
Productivity 9551
Spreadsheets Score 12051
Writing Score 7570
Digital Content Creation 8438
Photo Editing Score 9989
Rendering and Visualization Score 10583
Video Editing Score 5685
Gaming 20201
Fire Strike Graphics Score 32844
Fire Strike Physics Score 19054
Fire Strike Combined Score 9457

 それではG-SYNCをオフにした状態ではどうだろうか。PCMark 10のGamingテストと実質的に同じ3DMarkのFire Strikeのスコアを見ると、G-SYNCオフの状態では26194ポイントで、GPUのOC機能をオンにスイッチすると26281ポイントにアップした。

 GT1、GT2テスト時のフレームレートもG-SYNCオン時には120fpsが上限となるが、オフの際には200fpsあたりまで引き上げられる。もっとも、これはベンチマークでの話であり、実際にゲームをプレイする際にはG-SYNCをオンとした状態のほうが映像が滑らかに再生される。

3DMarkのFire StrikeをG-SYNCオフで実行した際のスコア(画面=左)と、さらにGPUのOCをオンにした状態でのスコア(画面=右)

 さて、3DMarkの主だったスコアを見ていこう。Fire Strike Extremeについては15013ポイント、同Ultraについては8480ポイント、Time Spyは10074ポイント、同Extremeは4696ポイントだった。

 ただし、このテストはバッチを組んで連続実行しており、その結果最大負荷に近い状態が長時間続き、GPU Boostの効きが悪くなるようだ。バッチで実行した場合のFire Strikeのスコアは24080と、先に単体で計測した際の26194から大きくスコアを下げている。このように、スコアがやや低いのではないかと疑いがある際は、OC機能のユーティリティの冷却の制御で、ファンの回転数を引き上げてみるのが良い。

3DMarkのスコア
TimeSpy Extreme 4696
TimeSpy Performance 10074
FireStrike Ultra 8480
FireStrike Extreme 15013
FireStrike Performance 24080
SkyDiver Performance 49617
CloudGate Performance 44244
IceStorm Performance 185760

 さて、GeForce GTX 1080のSLIだけに、Graphicsスコアで見るとシングルのGeForce GTX 1080 Tiよりも高い。問題はそのSLIを生かしきれるのは対応タイトルに限られる点だ。そのあたりは次の実タイトルで見ていこう。

 Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsでは、SLIオンとオフでフレームレートがはっきりと差がついたので、おそらく対応しているのではないかと思われる。ウルトラ画質は特に処理が重いため3840×2160ピクセルでは43fps程度となるが、1920×1080ピクセルなら71fps程度出るので十分に楽しめる。

 もっとも、1920×1080ピクセルならば非SLI時のGeForce GTX 1080でも60fps出るので、ここは3840×2160ピクセルで楽しみたい場合にはSLI、発熱を抑えて少し静かにプレイしたければ1920×1080ピクセルで非SLIといった選択が可能だろう。

 なお、アイドル時こそまずまず静かに感じられる本製品だが、高負荷時には47.5dBA前後になるので、静かな深夜のプレイではヘッドフォンが必要になるだろう。

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands
設定 SLI有効 SLI無効
3840×2160ドット、ウルトラ 43.28fps 28.02fps
1920×1080ドット、ウルトラ 70.98fps 60.56fps

 一方、Assassin's Creed Originsについてはオン、オフで明確な差は見られなかったので、非対応タイトルであるようだ。最高画質でのフレームレートはおよそTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsの際のSLI構成時と同じくらいで、3840×2160ピクセルなら38fpsと30fpsを少し上回る程度だが、1920×1080ピクセルなら70fps程度出る。

 基本的にSLI非対応タイトルでは、セカンダリ側のGPUはオフの状態となるので、明示的にオフにする必要はない。そのため、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsや3DMarkのようにSLIが有効化された場合と比べると動作音も若干静かに感じられた。

Assassin's Creed Origins
設定 SLI有効 SLI無効
3840×2160ドット、最高 4614 4553
1920×1080ドット、最高 8416 8842
3840×2160ドット、最高 38fps 38fps
1920×1080ドット、最高 70fps 73fps

 最後に先日ベンチマークがリリースされ、実タイトルのリリースも迫るFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION。このベンチマークはSLI非対応だが、スコアは気になるところだろう。

 結果を見ると、1920×1080ピクセルで高品質時が7491ポイントで「快適」評価。フレームレートを計測してみると、快適評価は平均60fps超である場合の判定であるようだ。

 ただし、本タイトルはかなり高いスペックを要求し、例えばデスクトップ版で1つ上のGPUであるGeForce GTX 1080 Tiをもってしても4Kの高品質プレイは快適評価が得られないことでも知られる。

 結果、本製品では、3840×2160ピクセル、軽量品質で5661ポイントの「やや快適」評価にとどまった。ちなみに、やや快適なら平均30fpsは満たしている。多少、重く感じられるシーンが生じないわけではないが、プレイ自体は十分できそうな印象だ。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION

設定 スコア 評価
1920×1080ピクセル、高品質 7491 快適
3840×2160ピクセル、軽量品質 5661 やや快適

 SLIの対応については、NVIDIAのSLI対応タイトルリストが最近更新されていないようで、比較的新しいタイトルが追加されていない。

 一方でリストになかったTom Clancy's Ghost Recon WildlandsがどうやらSLIに対応しているようなので、ゲーム側の情報サイトの情報に頼るか、あるいは試してみるまで分からない状態である。

 デスクトップPCにおいても、最近はグラフィックスカード自体が高止まりしていることもあって、SLIが盛り上がる状況ではないが、一方でWindows 10自体がマルチGPUのサポートを拡大しているので、期待できる部分もある。

 最後にVRについても触れておこう。GeForce GTX 1080はVR Ready GPUなのでVRを楽しむ上でスペック的にはなんら問題ない。さらにSLIである。そのあたりベンチマークで数値を見ていく。

 まずSteam VR Performance Testでは平均忠実度が11(非常に高い)で、90fps以下のフレームも0だ。忠実度のグラフも全くのフラットなのが心強い。VRMarkでも、Orange Roomが10187、Cyan Roomが6444、Blue Roomが2210と、全体的に高スコアである。

 VRでは、高解像度の映像を左右ステレオで、さらに通常のディスプレイ以上の安定した高フレームレートで出力する必要がある。SLIで左右個別に出力できるNVIDIA VR Works(VR-SLI)のようなAPIもあるので、本製品のようなハイエンドPCは有用だろう。プレイ用はもちろん、VRタイトルの開発用としても検討できる。

Steam VR Performance Testでは忠実度MAX状態

VRMarkでも高いスコアを記録。Orange Roomでは10000ポイントを超えている

SPはあくまでスペシャルモデル。「i71130BA1」が狙い目か!?

 このように、NEXTGEAR-NOTE i71130シリーズの中でも今回試した「i71130PA1-SP」は、ゲーミングデスクトップPC並みのパフォーマンスを誇る。CPUがデスクトップ版であるためここは当然同等であり、GPUもGeForce GTX 1080ではあるがSLI構成のため、SLI対応タイトルではGeForce GTX 1080 Tiを超える性能が得られる。

 その一方で、さすがに構成は価格もすごい。シリーズ最廉価の「i71130BA1」で46万9800円、今回試した全部入りモデル「i71130PA1-SP」に至っては69万9800円だ(ともに税別)。軽自動車まではいかないものの、二輪車は買えてしまう価格である。

 もっとも、ここまで来ると趣味の世界であるから、同等の価格となるのも仕方ないのかもしれない。なお、最廉価のi71130BA1でも、Core i7-8700にGeForce GTX 1080×2基、8GBメモリに512GB Serial ATA SSDといった構成なので、パフォーマンス的にはそこまで大きな差はつかず、ゲーミングデスクトップPCに比肩するものが得られるだろう。i71130PA1-SPは、全てが最高でなければ満足できない方のためのスペシャルモデルなのだ。

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