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» 2018年03月15日 16時37分 公開

スマホのデータを残して死ねますか? 「第2回デジタル遺品を考えるシンポジウム」レポート (1/2)

デジタル遺品依頼の7割はスマートフォンが対象――聞いたことがあってもイマイチ実態がつかめない「デジタル遺品」。そのガイドラインを作ろうというシンポジウムが開かれた。語られた現状は意外? 想定内?

[ITmedia]

デジタル遺品は「デジタル環境を通してしか実態がつかめない」

 3月3日、アイティメディアのセミナールームで「第2回 デジタル遺品を考えるシンポジウム」が開かれた。会場にはIT関連企業や葬祭関連業などに携わる参加者が30人ほど集まり、“デジタル遺品”という新興のテーマについて学び思いを巡らせた。

シンポジウムの様子

 まず、デジタル遺品とは何なのか。最初に登壇したデジタル遺品研究会ルクシーの古田雄介理事は「デジタル環境を通してしか実態がつかめないもの」と定義する。

 細かく見ると、スマホやパソコンといった「情報端末」(ハード)と、そこに保存されている各種ファイルやアプリ、設定などの「オフラインデータ」、SNSやネット銀行口座といった「オンラインデータと契約」などに分けられるという。

 これらのデジタル遺品は「現実の家と違って、自分以外の他人が入り込むことを想定せずに使っている人が多い。それゆえにデジタルに詳しい遺族がみても全容が分かりづらく、遺族が知りたいものと本人が隠したいものが混在しています」(古田氏)といった問題がある。それに加えて、スマホのパスワードロックの強固さが近年問題になっているそうだ。

古田氏のプレゼン資料より、「デジタル遺品特有の問題」

 それらの問題を取り除けば、「普通の遺品なり資産なりとして扱えるようになって、デジタルだからと怖がらなくて済むようになるでしょう」(同氏)というが、現実のサポート体制はまだ整いきれていない。

 法律面においては、2番目に登壇した弁護士で公認会計士の伊勢田篤史氏が「法整備の動きはまだないようです」と話す。それゆえに日本デジタル終活協会を立ち上げ、元気なうちからデジタル資産の棚卸しをして準備する大切さを説く。

 講演では「WEBサービスによっては、遺族が引き継げる(相続可能な)場合と、一身専属的な契約で引き継げない(相続できない)場合があります。さらに、その線引きがはっきり見えない場合もあります」と、オンライン遺品の死後サポート体制にも言及していた。

「デジタル終活と日本の法律」を講演する伊勢田氏

 ハード面の問題もサポートを探すのに苦労する状況だ。スマホやパソコンの修理や契約変更に応じる窓口は多いが、メーカーやキャリアは故人の端末のパスコード解除を助けてはくれないし、デジタル遺品専門のサポート団体もまともに稼働しているところもわずかしかない。

 3番目に登壇した熊谷聖司氏が代表を務めるデータ復旧会社・デジタルデータソリューションは、そのうちの1つに数えられる。

 同社は2017年9月に「デジタル遺品調査サービス」をスタートし、2018年2月末までの半年間に81件の相談に対応したという。そのうち圧倒的多数を占める58件の相談はスマホに集中していた。2位のノートPCは14件で、デスクトップPCは5件と、需要の差は歴然だ。

「トラブル内容でいえば、『パスワードが分からない』が64件でトップでした。残りの17件は『中身を削除してほしい』というものでしたね」(熊谷氏)

「現場からみたデジタル遺品の課題」を語る熊谷聖司氏

 講演では、それらの実際の事例を紹介。「経営者だった父のスマホに仕事のデータが多数残っている。業務に支障が出ているので、早急に中身を知りたい」や「夫の死後、子どもから夫が不倫していた事実を知らされた。子どもが気遣って夫のスマホから証拠を削除してしまったが、復旧して真相を知りたい」といったものの他、近々では「亡くなった夫が仮想通貨を持っていたらしい。最近値上がりしているので調べて相続したい」といった要望を受けるようにもなっているという。

 故人の死亡年齢別にみると、「意外なほど偏っていて驚きましたが、10代から40代が7割以上を占めます」といった状況。だからこそ、「年配者に対してデジタル遺品サービスを伝えていく必要があると感じています」と熊谷氏は力説していた。

デジタルデータソリューションが半年で対応したデジタル遺品調査サービスの資料

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