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» 2018年07月24日 06時00分 公開

本田雅一のクロスオーバーデジタル:第8世代Coreの「MacBook Pro」選びで知っておきたいこと (1/3)

ボディーデザインはそのままに、プロセッサの世代交代を果たした「MacBook Pro」。第8世代Core(Coffee Lake)による性能の向上はもちろんだが、それ以外にも進化した部分は少なくない。製品選びのシナリオを考えつつ、注目すぺきポイントをまとめる。

[本田雅一,ITmedia]

 Apple製パーソナルコンピュータの評価記事というのは、なかなか独自の視点を持つことが難しい。言うまでもないことだが、Appleのパソコン、すなわちMacの上では通常macOSが動作し、そのmacOSは他のコンピュータでは動作しないよう作られている(ハッキングで動く……というのは正式なものではないので、ここではカウントしない)。

 これが一般的なWindows 10搭載PCならば、幾つかの異なるメーカーが出す、微妙に違うコンセプトの製品や、同じプロセッサを搭載しつつも異なる設計の結果、性能の違い、あるいは利用フィールやディスプレイの質といった比較のしがいがある。

 しかしMacの場合は、1つのカテゴリーに1つの製品シリーズしかない。近年はMac上でWindows OSを動かすことができ、MacとWindowsの乗り換えも容易になっているとはいえ、実のところ「MacBook Proの競合相手はMacBook Pro」しかない。

MacBook Pro 新型「MacBook Pro」の15インチモデル。価格は25万8800円(税別)から

 ところが今回の「MacBook Pro」のアップデートは外観デザインに一切手が入っていないにもかかわらず、今後の進化の方向性を感じさせる幾つかの要素が盛り込まれている。また、「MacBook」にも採用されているバタフライ構造のキーボードが第3世代となっており、そのフィーリングと信頼性に関する確認もしたいところだ。

MacBook Pro 見た目は変わらないが、基本スペックの世代交代、キーボードの改良など、進化ポイントは少なくない

最大の進化は「性能の向上」だが……

 今回のアップデート、最大のポイントはやはり第8世代Intel Core、いわゆる「Coffee Lake」(開発コード名)マイクロアーキテクチャのプロセッサを採用したことだ。第8世代Coreには、2017年8月発表の「Kaby Lake Refresh」マイクロアーキテクチャを採用するプロセッサもあるため話がややこしいのだが、MacBook Proへの搭載は見送られていた。

 そのため、「macOSが動作する高性能ノートパソコン」というジャンルで言えば、その比較対象は必然的に2016年10月発売の「Skylake」マイクロアーキテクチャ採用モデルか、2017年6月発売の「Kaby Lake」マイクロアーキテクチャ採用モデルとの比較となり、第6世代、第7世代のIntel Coreからのアップデートということで、シンプルに考えることができると思う。

 MacBook Proは、一般的なビジネス用途や個人向けの情報ツールとしても、もちろん優れた道具ではあるが、本来はプロフェッショナルユーザー向けに、モバイルコンピュータのパッケージで可能な限りの高性能を提供することを目的とした製品だ。

 しかし、2016年10月発売の現行デザインから、AppleはMacBook Proシリーズを取り巻くシステム全体の構成、コンセプトを少しずつ見直しはじめているように思う。これは当時感じていたことでもあるが、今回のアップデートで他社製とはいえ、Apple向け専用品のBlackmagic Design製eGPUユニットが用意されたことでハッキリしてきたように思う。

MacBook Pro Blackmagic DesignがMacBook Pro向けに外付けGPU(eGPU)ユニットを用意。内蔵するGPUはRadeon Pro 580(8GB GDDR5メモリ)だ。Thunderbolt 3でMacBook Proと接続する。

 Appleは2017年末、「iMac Pro」を投入することでパフォーマンスを必要とするプロフェッショナル(映像、写真、3Dグラフィックス、音楽制作、ソフトウェア開発など)向けに一つの回答をしている。

 一方でMacBook Proに関しては、15インチモデルがIntel CoreでTDP(熱設計電力) 45WのHシリーズ、13インチモデルがTDP 28WのUシリーズという枠組みで設計されていることは変わらないものの、本体を薄型・軽量にすることで可搬性を高め、インタフェースをUSB Type-CコネクターとThunderbolt 3に集約することで、「システムの核」となるような位置付けになっていった。

MacBook Pro 15インチモデルの側面。前モデル同様、インタフェースはUSB Type-CコネクターとThunderbolt 3に集約している。写真は左側面だが、右側面にもThunderbolt 3(USB Type-C)を2基搭載する

 もちろん、「Touch Bar」の採用やディスプレイ品質、内蔵スピーカーの音質など、基本的な部分での改善は行われているが、少し引いた位置からシステム全体を見ると、汎用(はんよう)性の高い高速なインタフェースでハードウェア要素を結び付け、利用シーンごとに最適なシステム構成を取れるよう「全体の大きな絵」を描こうとしているようだ。

 一方で、MacBook Proがもっと分厚く重かったころに比べると、本当の意味でプロフェッショナル向けといえるようなパフォーマンスには達していないという声も少なくはなかった。2017年のアップデートもSkylakeとKaby Lakeへのアップデートでコア数の増加はなく、とりわけ13インチモデルは、「どこが“Pro”なのだ」という声もあった。

 しかし今回の製品はCoffe Lake。コアアーキテクチャそのものの大幅な刷新はないものの、内蔵CPUのコア数が増えることによる明確な処理性能の向上を見込める。既に各所で公開されているCoffe Lakeのベンチマークテスト結果を見るだけでも、大幅な性能の向上は明らかだ。

 15インチモデルに搭載可能なCore i9には最大6つのコアが搭載されており、従来の4コアから1.5倍に増えている。13インチモデルは2コアから4コアとなり、コア数は2倍となった。

MacBook Pro Core i9は6コア・12スレッドに対応。もちろん、アクティビティモニタにも12スレッドでCPUが表示される

 言うまでもないことだが、近年はOS側もアプリケーション側も、マルチスレッドでのパフォーマンス効率が向上しているため、13インチモデルの「コア数2倍」はかなりパフォーマンスに効いてくる。もちろん、絶対的なパフォーマンスを求めるのであれば15インチモデルでCore i9を選択すればいいが、コンパクトで軽量な13インチモデルが4コアになった意味は大きい。

 ただし、両製品に採用されているプロセッサは、いずれももともとのMacBook Proの設計と同じTDPではあるものの、あくまで熱設計用の目安でしかない。Coffe Lakeの生産プロセスはKaby Lakeよりも改良されたものの、より多くのコアが同時に、上限に近い効率で動けば、実際に発熱量が増えることは、過去の例が示している。

 つまり、CPUとGPUに処理をパンパンに詰め込む最適化を行っているようなアプリケーションで、どこまでの性能が引き出せるかは、より詳細な条件を詰めなければ評価できない。より高性能な外部(ディスクリート)GPUを搭載するようになった15インチモデルならば、なおさらのことだ。

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