第2世代でさらなる高みへ 「Ryzen Threadripper 2950X」のパフォーマンスを試す(1/2 ページ)

» 2018年08月14日 10時44分 公開
[石川ひさよしITmedia]

 第2世代のRyzen Threadripperが8月13日に発売された。最初にリリースされる製品は「2990X」。32コア・64スレッドのクリエイター向けモデルだ。

 一方、ここで紹介する16コア・32スレッドの「2950X」はもう少し先の8月31日に発売される。ただ、最上位至上主義でなければ、ハイエンドゲーマーはこちらのCPUを選ぶことになるだろう。早速ベンチマークテストでそのパフォーマンスを明らかにしていく。

Ryzen Threadripper 2950X

8月末発売予定の2950Xを一足早くチェック

 既に開封の儀レポートで紹介した通り、Ryzen Threadripper 2950Xは引き続きソケットTR4を採用しており、従来のAMD X399マザーボードがこれを引き続きサポートする。編集部で入手したマザーボードはASUSTeKのROG ZENITH EXTREMEで、届いた当初からその時点で公開されているBIOSよりも新しいものが適用されていたが、検証期間中に1回アップデートが入った。検証はこの最新版ファームウェアで行った。おそらく2990Xの発売とともに、各社各製品でもBIOSアップデートが公開されるだろう。

 開封の儀および製品ラインアップの発表以降、明らかになったところをまとめておこう。まず、メモリのサポートだが、第1世代の1950XではDDR4-2667までだったが、第2世代の2950XではDDR4-2933に向上している。DDR4-2933となるとJEDECメモリというより、OCメモリの範囲でコスト的には上がる。ただし、Threadripperのコア数の多さ、メモリ帯域とのアンバランスを考えると、少しでも速いメモリを組み合わせた方がよいだろう。

 また、今回の2950Xとは関係のない話であるが、2970Xがどのようなレイアウトになっているのかについても明らかになった。2970Xは24コア・48スレッドで、これが8コア3ダイ構成なのか、8コアのうち6コアを有効とした4ダイ構成なのか。結局これは後者を採用したという話だ。ThreadripperではCCX間をInfinity Fabricで結んでいるが、4ダイ構成のほうが「バランスがよい」とのことだ。

 それでは、Ryzen Threadripper 2950Xのパフォーマンスの見どころを紹介しよう。まずZen+で強化された機能が利用できる。特に「Precision Boost 2」は1スレッドと最大スレッドの中間のスレッド数時の動作クロックを引き上げるため、第一世代とパフォーマンス差が現れるところだ。

 次にクロック。第2世代で採用された12nmプロセスは同クロックなら低消費電力、同消費電力なら高クロック動作が可能とされる。実際、同じコア数の1950Xと比較して定格こそ100MHzアップ止まりだが、最大クロックは400MHzアップを実現している。最後に先ほども紹介したメモリクロックだ。これらに注目しながら、ベンチマークを見ていきたい。

型番 コア・スレッド 定格クロック 最大クロック L1 L2 L3 メモリ TDP
2950X 16C・32T 3.5GHz 4.4GHz 1.5MB 8MB 32MB DDR4-2933 180W
1950X 16C・32T 3.4GHz 4GHz 1.5MB 8MB 32MB DDR4-2667 180W

第1世代と第2世代、同コア数対決で進化を確認

 今回は比較対象を1950Xとして、2950Xがどのくらい向上したのかを見ておきたい。あるいは、既にCPUとメモリ、マザーボード以外ほぼ同じ環境でレビューしているメインストリーム向けの第2世代Ryzenと比べれば、プラットフォームによるパフォーマンスも明らかになるだろう。ただし、今回は機材の都合、速報として主要なベンチマークの結果のみのレポートとなる。

 まずエンスージアスト向けのメニーコアCPUではおなじみのCINEBENCH R15。CPUテストで1950Xは3000cbを超えたが、2950Xはさらに100cbほど積み上げた3188cbだった。

 また、CPU(Single Core)テストも1950Xに対して11cb向上した177cbという結果だった。同じコア・スレッド数なので、これらはクロックの引き上げやZen+で改善されたレイテンシなどでこれだけ向上していると考えられる。

CINEBENCH R15の結果

 PCMark 10 Extended Testでは、大幅な向上が見られた。Overallでは1950Xの7728ポイントに対して2950Xは8397ポイントだった。各テスト結果の内訳を見ていくと、Essentials、Productivity、Digital Content Creation、GamingそれぞれOverallで2950Xが1950Xに対して明確なリードを示しており、特にCPUの影響が大きなテストほどリードも大きいことが分かる。

PCMark 10の結果

 詳細に見ていくと、ProductivityやDigital Content Creationには、先のCINEBENCH R15と同様、主にクロック向上によるリードよりもさらに大きくリードしているものもある。こうしたテストはマルチスレッドといっても全スレッド使い切るわけではなく、中間的なスレッド数で処理される内容なのだろう。こうしたテストでPrecision Boost 2が効き、大きくリードしたと考えられる。

PCMark 10(Essentials)の結果
PCMark 10(Productivity)の結果
PCMark 10(Digital Content Creation)の結果
PCMark 10(Games)の結果

 TMPGEnc Video Mastering Works 6によるトランスコードテストも、CINEBENCH R15の傾向に近い結果だった。今回フレームレートに換算しているが、2950Xは1950Xよりも1.5fpsほど向上し、所要時間では24分33秒に対して23分16秒へと短縮された。

TMPGEnc Video Mastering Works 6によるトランスコードテストの結果
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