未来を創る「子どもとプログラミング教育」

子どもに「パスワード」の付け方を教えられますか?子どもを守るITリテラシー学(1/2 ページ)

» 2018年08月28日 13時30分 公開
[宮田健ITmedia]

 子どもたちの世界でもスマートフォンやタブレット、PCを活用するのは当たり前になりつつあります。相応のリスクはあるものの、利便性が勝るようになり、教育現場でのIT化も進んできているからです(2020年度からは小学生でのプログラミング教育が必修となります)。

 もちろん、スマホを外出先では自由に使えないよう、Wi-Fi環境のみに利用を絞りたいという家庭もあるでしょうが、疑問に思ったことをすぐに調べる、記録として写真を撮るなどの行為は、子どもの世代であっても興味があること、ためになることだと思います。もちろん、ゲームをやりたいというニーズも大きいとは思いますが。

 そう考えると、子どもにとって「危ない」「怖い」と注目される、さまざまなリスクをいかにして減らしていくかという点が、親目線でのスマホやタブレット、PCの活用における重要なポイントになります。

 例えば、第1回で触れたGoogleマップのタイムライン機能も、行動履歴を日記と捉えれば大変便利です。が、これを他人に見られてしまうと大きな脅威になり得ます。オフもできるし、削除もできるとはいえ、万が一そのデータに不正にアクセスされてしまうと、行動が丸裸になってしまうわけですから。

 子どもの個人情報を守るのは、親であるあなたが設定したパスワードになります。そこで今回は、自分の情報を守る最初の砦ともいうべき、「パスワード」というものを親目線で考えていきたいと思います。

password 今や子どもの「パスワード」管理も親の務めです

あなたを守る「パスワード」が子どもも守る

 親世代にとっては、パスワードはなじみ深いものでしょう。ありとあらゆるサービスでパスワードを付けることを強いられてきました。銀行口座の暗証番号もパスワードです。ところで今さらですが、これには一体どんな役割があるのでしょうか。

 パスワードとは、「あなたがあなたであることを証明するもの」です。あなたが決めたパスワードは、あなたしか分からないはず。だからこそ、「パスワードを知っている=あなた本人である」と証明できるのです。なので、重要なのはまず「あなたしか知らない」を維持することです。

 ただ残念ながら、私たち親世代はパスワードの付け方を習ったことがないでしょう。その状況で、子どもたちに「キミしか知らないような言葉をパスワードにしなさい」といってもピンとこないはずです。その結果、誕生日を8桁の数字で並べたもの、あるいは住所や電話番号をそのままパスワードにしてしまうかもしれません。

 最近、子どもたちの間での「不正アクセス」事件が話題になることがあります。報道されるのは、知人のSNSアカウントに「不正アクセス」を行い、イタズラで投稿をしてしまうという事件です。そのほとんどは、パスワードが単純な誕生日だったりするわけです。

 問題はこの「イタズラ」、れっきとした法律違反である以上、発覚すると人生において大きな汚点になってしまうこと。子どもたちにとってはほんのちょっとの出来心であることは間違いありません。が、パスワードを想像し、実際にログインを試行、成功してしまうと犯罪になってしまうことはあまり知られていないのでしょう。

 「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」は、下記のように規定されています。

  • (不正アクセス行為の禁止)
    第三条 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
  • (罰則)
    第十一条 第三条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 「不正アクセス行為」とは、IDやパスワードで正しい人だけがアクセスできるようにしていたにもかかわらず、不正に利用できる状態にすることを指します。つまり、他人のIDとパスワードを使ってログインすると、「不正アクセス禁止法違反」となります。

 子どもたちの間でリアルなケンカが起きたとき、腹いせにSNSへ勝手にログインして変なことを投稿してやろうとか、一緒に遊んでいるオンラインゲームにログインして、アイテムを盗んでやろうなどと「ネット上で」嫌がらせを思い付くことがあり得ます。これが成功すると、立派な犯罪が成立してしまうのです。

password ちょっとしたイタズラ心での不正アクセスが取り返しのつかないことになる可能性も……

 もちろん、そういうイタズラをさせてはいけませんが、その前に「簡単に突破できないパスワードを付けること」が重要です。あなたがあなたであることを証明するパスワードをしっかり設定することで、あなたの情報だけでなく、あなたの友達のほんの少しの出来心からも守ることができるのです。これが、パスワードをしっかり付けるべき理由の一つです。

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