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» 2018年11月06日 20時00分 公開

本田雅一のクロスオーバーデジタル:新「Mac mini」の“小型パソコン”を大きく超えた可能性に迫る (1/2)

4年ぶりに新モデルが登場した「Mac mini」。実機を試用してみると、最新のMacを気軽に入手できるエントリー機としての役割を超え、「Pro」と付いてもおかしくないほどの実力を備えていた。

[本田雅一,ITmedia]

 約4年ぶりのモデルチェンジとなった「Mac mini」。結論からいえば、本来の役割であるMacへのエントリーポイントとしてコストパフォーマンスのよい選択肢であるとともに、「Mac mini Pro」とでもいうべきクリエイターや開発者などプロフェッショナルにも魅力的な要素を備えた製品に仕上がっている。

Mac mini 2014年以来、搭載CPUのアップデートすらなかった「Mac mini」が最新スペックになって帰ってきた

 デスクトップで使う最も手軽なMacとしてだけでなく、追加の演算性能を求めて分散処理用のCPUを追加したい、あるいは「Boot Camp」を用いてWindowsも起動するデュアルブートのマシンとして使いたいなど、あらゆる使い方に適応できる、極めて柔軟性の高い小型パソコンだ。

 テストを通じて不満に感じる点は一切なかったが、一つ懸念点があるとしたならば、Mac miniという製品が2014年以降、搭載CPUのアップデートさえ行われてこなかったことだろうか。途中、米AppleのMac製品を担当する幹部、フィル・シラー氏が「Mac miniを忘れてはいない」といった発言もしていたが、これだけアップデートに間が空くと、継続的にこのパッケージを使いたいユーザーは二の足を踏むかもしれない。

 将来の製品についてAppleがコメントすることはないだろうが、是非とも、来年、再来年と最新のプロセッサへの更新を続けてほしい。今後、Macのラインアップで定番商品として定着していけるだけの大きな魅力があるのだ。

「mini」に収まらない高パフォーマンスの新モデル

 筆者がテストしたのは、第8世代Intel Core i7-8700B(Coffee Lake、6コア、3.2GHz動作、Turbo Boost時最大4.6GHz、12MB 3次キャッシュ)のプロセッサをはじめ、32GBのメインメモリ(16GB DDR4 SO-DIMM×2の構成)、1TBのSSD(PCIe)を搭載したモデルだ。

 新しいMac miniでは最も高性能なプロセッサだが、この構成はCTOのオプションでのみ選択できる。標準モデルにはCore i3(4コア、3.6GHz動作、6MB 3次キャッシュ)とCore i5(6コア、3.0GHz動作、Turbo Boost時最大4.1GHz、9MB 3次キャッシュ)のモデルがあり、それぞれメインメモリは8GB、SSDは128GBと256GBの構成となっている。

 最小構成のCore i3モデルは8万9800円(税別、以下同)、Core i5モデルは12万2800円。筆者が手にしたテスト機の構成にすると、27万6000円だ。さらに、64GBメモリに2TB SSD、10GbE(10ギガビットイーサネット)搭載のフルオプションでは46万3800円と、構成によってかなり価格差が大きい。

 しかし、新しいMac miniは上記の構成にかかわらず、USB 3.1 Gen 2(最大10Gbps)のType-Aを2ポート、USB-C兼Thunderbolt 3(最大40Gbps)を合計4ポート装備しており、Thunderbolt 3とは別にHDMI出力もある。無線LAN、有線LANともに現在選べる通信規格には全て対応しており、これまで固定だった内蔵メモリも着脱式のSO-DIMMに変更されたことで、購入後の構成変更も可能となった。

 MacにはThunderbolt 3の対応機器が豊富に存在する上、近年はWindows PCでも多くの製品が搭載するようになっており、周辺デバイスとの接続性、拡張性において不安は全くない。

Mac mini 充実のインタフェース。Thunderbolt 3(USB-C)を4ポート、USB Type-Aを2ポート搭載し、独立したHDMI、有線LANのポートも用意している

 一方で重量こそやや重くなった約1.3kgながら、197(幅)×197(奥行き)×36(高さ)mmのコンパクトな筐体に、電源とストレージを内蔵するコンパクトな設計は維持されており、パワフルなプロセッサの搭載にもかかわらず、静粛性も極めて高い。

 内蔵GPUがIntel UHD Graphics 630であるため、ゲームやGPU指向の強いアプリを動かすには向かないとはいえ、Thunderbolt 3へのeGPU接続も視野に入れれば、GPUを使うクリエイター向けツールの対応度も高いといえる。

 そして、内蔵するSSDのパフォーマンスが極めて高い。恐らく2018年モデルの「MacBook Pro」と同じPCIeベースのSSDが使われているのだろう。Blackmagic DesignのDisk Speed Testによるストレステストでは、読み出し速度、書き込み速度のいずれも毎秒約2.8GBというスコアだった。「爆速」という言葉を使いたくなるほどのハイパフォーマンスだ。

Mac mini Blackmagic DesignのDisk Speed Test結果

 内蔵SSDの容量単価がやや高いと感じる読者もいるだろうが、その実力を考慮するならば、できる限り内蔵SSDの容量は大きく取っておきたいところだ。ただし、筆者がテストした1TB SSDは上記のパフォーマンスだったが、小容量のSSDが同じパフォーマンスかどうかは確認できていない。

 光学ドライブのないシンプルなアルミ削り出しボディーの基本的な設計は、従来機と変わらない。端子部の下にある、横に長い楕円(だえん)形の開口部は排気口だ。底面のプラスチックカバー周囲にある隙間から吸気し、システム全体を空気が通過する放熱設計になっている。

 吸気、排気ともに流量が十分に確保されているため、熱設計電力(TDP)が65Wの小型デスクトップ向けプロセッサを搭載しても、十分な冷却力がある。

Mac mini インタフェースの下部には、横に長い楕円(だえん)形の排気口がある

 筆者の用途では最も重いソフトウェアである「Canon Digital Photo Professional 4.2」を使って、フルサイズミラーレス「EOS R」で撮影したRAWファイルを10枚連続で現像させたところ、3分15秒で処理を終えてくれた。ちなみに2.1GHz動作(TurboBoost時最大4.1GHz)のCore i7-8650Uを搭載する「Surface Laptop 2」は、同じ現像処理に5分45秒かかった。

 コア数や動作周波数を考え合わせれば、おおよそ期待通りのパフォーマンスは出ているといえそうだ。

 ベンチマークテストのGeekbench 4.0も実施したが、結果はシングルコアが5958、マルチコアが26619というスコアだった。これは、2017年末に発売された「iMac Pro」の8コアモデル(Intel Xeon W-2140B搭載機)のシングルコアスコアである5330よりも高速だ(マルチコアスコアはiMac Proの方がコア数が多いため、33047とMac miniを上回る)。

Mac mini Geekbench 4.0のテスト結果。新しいMac mini(右)はシングルコアが5958、マルチコアが26619というスコアだった。「iMac Pro」(左)にシングルスコアでは勝っている
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