2008年11月18日から20日の期間、中国・マカオ特別行政区で「Mobile Asia Congress 2008」が開催された。
Mobile Asia Congressは、毎年2月にヨーロッパで開催する「Mobile World Congress」のアジア地区版となる展示イベント。中国やインドなど、アジア圏を中心に多数の国や地域から関連企業が参加した。2008年は3Gが海外でも普及期に入ったこともあり、その先のHSPAやLTEなど、ポスト3Gを見据えた展示や講演が目立った。主催はGSM Association(GSMA)。マカオでの開催は2007年に続き、今年で2回目となる。
今回はその中から、注目しておきたいいくつかのトピックを紹介しよう。
先進国の中でも3Gの普及率が最も高く、HSDPAサービスも早期に開始した日本。この状況に各国から高い関心が寄せられている。3G、そしてHSPAにより携帯はどう進化してくのか。キーノートスピーチに登壇したNTTドコモの山田隆持社長は、日本市場の現状とHSPA、LTEへの取り組みとともに、携帯がどう進化させていくのかといった戦略を語った。
世界の携帯電話利用者は年々増加しており、2008年には全世界で50%の普及率が2012年には80%まで伸びることが予想される。中でもアジア太平洋地域やアフリカは今後成長率が200%前後と、著しく利用者が増えていくと考えられる。
一方、そのアジアの一国にある日本はすでに携帯電話普及率が約82%と高い。「今後は急速な伸びは期待できず、成長期から成熟期に入っている。成熟期に入った市場では他社との競争がより熾烈になり、よいサービスを提供するだけではなく他社との差別化も必要。“キャリアを愛してもらう”という取り組みも必要」と山田社長。ドコモはその一環として企業ロゴとともに、型番名称・シリーズをPRIMEやSTYLEといったユーザーのライフスタイル別にシリーズ化する方針に再編し、自ら変革を起こすことも重要であると語った。
ドコモは2008年冬に、携帯電話へ電話としての機能やプル型の情報配信サービスだけではなく、消費者の嗜好を判別し、生活や行動を支援する「行動支援サービス」を開始。高速な回線速度を生かし、好きなときに動画を存分に視聴できるサービスやリアルタイム翻訳サービスなども携帯で普通に使えるものになってくる。「HSPAやLTEの時代が訪れることで、通信速度が高速になるだけでなく、ユーザーの利用シーンや携帯電話の機能そのものも大きく変化していくだろう」とまとめた。
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