インタビュー
» 2009年04月02日 07時00分 UPDATE

モバイルソリューションと内線サービスが成長を牽引――KDDI 山本泰英氏に聞く法人戦略 (1/2)

「不況だからこそ、潜在ニーズはむしろ顕在化しやすい」――KDDIの法人部隊を率いる山本泰英氏は、法人向けモバイルソリューションやFMC分野は、「今だからこそ成長のチャンスが大きい」と見る。

[神尾寿,ITmedia]
Photo KDDI ソリューション事業本部 サービス推進本部長の山本泰英氏

 モバイルにおける「法人市場」は裾野が広い。

 一般的にまずイメージされるのは、音声とメールを中心とした「携帯電話」需要であるが、より業務に直結したサービスを提供する「モバイルソリューション」、ハンディターミナルやさまざまな専用機を用いた「組み込み市場」、さらに携帯電話を企業内コミュニケーションで全面的に使用する「モバイルセントレックス」(内線サービス)など、法人市場がカバーする領域はコンシューマー市場並みに大きく、きめ細やかだ。

 そのような中で、モバイル(携帯電話)を中核に、固定通信やデータソリューションなど、1社でフルラインアップのサービスを取りそろえるのが、業界2位のKDDIだ。同社は早期からモバイルソリューション分野に注力し、宅配業者であるヤマト運輸を筆頭に、さまざまな大型案件を開拓。今年のMCPCアワードでグランプリと総務大臣賞を獲得した九州電力のモバイルソリューション開発を手がけるなど、法人市場においてNTTドコモに引けをとらない存在感を示している。

 2009年、KDDIはどのような戦略で法人市場に臨むのか。KDDIソリューション事業本部 サービス推進本部長の山本泰英氏に話を聞いた。

MCPCアワードグランプリを4年連続で受賞

―― 2008年度は法人市場の重要性が注目されつつも、リーマンショック以降の景況悪化などもあり、激変の年になりました。KDDIは現在の法人市場を取り巻く環境をどのように分析していますか。

山本氏 弊社では法人契約の実数や比率を公開していませんが、2008年度を振り返っても、右肩上がりの成長を維持しました。最盛期の対前年比2倍の成長と比べれば少しばかり鈍化しましたが、それでも(2008年度も)堅調に伸びています。

 このように堅調さを維持できたのには理由があります。KDDIでは(法人市場の開拓が本格化した)当初からソリューション重視という姿勢を取っており、音声電話としての用途だけでなく、業務を効率化して生産性を向上するためのツールとして、(KDDIの携帯電話を)お客様に提案してきました。この活動が奏功し、単なる携帯電話以上の価値をもって、法人のお客様にご導入いただいています。企業の生産性を高めるものとして検討・導入を決定していただいてますから、周辺の市場環境の影響を受けにくいのです。

―― 確かにKDDIは、2004年の段階から「法人市場ではモバイルソリューションが重要」という姿勢を貫いていました。業務用のアプリ開発やBluetoothの搭載と活用も他社より積極的でしたね。

山本氏 ええ、そのとおりです。例えば、KDDIではヤマト運輸様向けのモバイルソリューションを開発・提供していますが、これは世界的に見ても最大規模の“ケータイの業務活用”の事例です。

 こうしたモバイルソリューションの訴求は、当初は法人ユーザー様にご理解いただくのに時間がかかりますが、導入企業には(生産性向上やコスト削減などの)効果を高く評価していただいています。こうした事例の積み重ねが広がり、一昨年くらいから開発案件が非常に増えてきました。

―― モバイルソリューション分野におけるKDDIの取り組みについて、市場での認知度や評価が高まってきたということでしょうか。

山本氏 (法人市場で)我々のソリューション提供能力を評価していただけているという一面はあると思います。例えばですが、モバイルコンピューティング推進コンソーシアムのMCPCアワードにおいて、我々が提供したモバイルソリューションが、5年連続でグランプリを獲得しています。グランプリ以外にも多くの賞をいただいており、こうした実績が(法人市場で)評価されています。

―― 今年の九州電力のソリューションもKDDIの案件ですし、MCPCアワードは毎年「総なめ」に近い状況で獲得されていますね。

山本氏 受賞がすべてというわけではありませんが、法人市場におけるモバイルソリューションの重要性を広める、客観的でよい評価基準がMCPCアワードだと考えています。このグランプリを毎年獲得しているメリットは大きいですね。

―― 早期から“ソリューション重視”で先進的な活用事例を積み上げてきた。その実績が、今の逆風下でも堅調な成長につながっていると言えそうです。

sa_mcpc06.jpgPhoto グランプリを獲得した九州電力(左)のソリューション構成(右)

音声サービスから「ソリューションの下地を作る」

―― 法人市場全体でモバイルソリューションの重要性が増す一方で、MNP開始前後から「音声定額」など、割安な電話サービスで法人契約を獲得する動きも活発化してきました。この分野ではソフトバンクモバイルの勢力が強いですが、KDDIも対抗措置的に音声市場に参戦されていますね。

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