MicrosoftのiPhone対抗策は「踏んで壊す」ではなく……

» 2009年09月18日 07時40分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 突然ですが問題です。道を歩いていたら、誰かがiPhoneを使っているのが見えました。あなたの最初のリアクションは?

A)スティーブ・ジョブズの驚異のデバイスを取り出し、自分の方がクールなゲームを持っているのを見せつけてうらやましがらせる。

B)何とも思わない。

C)声を限りに叫んで、その人が持っているiPhoneをたたき落として、ブーツのかかとで踏みつけてバラバラにする。

 もしもあなたがMicrosoftのスティーブ・バルマーCEOなら、正解に近いのはCだ。9月10日にシアトルで開かれた社員の集まりで、彼は社員の1人がiPhoneで自分の写真を撮ろうとしているのを見つけた。彼はそのむかつくデバイスを取り上げて、踏みつけてバラバラにする振りをしたという。

 実のところ、彼がiPhoneを本当に壊さなかったことにはちょっと驚いた。彼についてはいろいろ言われているが、中途半端はしない男だということは確かだからだ。

 踏みつけたのは「振り」だったかもしれないが、Microsoftは今もなお、モバイル市場のコンシューマー分野に本格的に踏み込むつもりでいる。たとえ、ほとんどの調査でモバイルOS市場での同社のシェアが小さく、減少していることが示されているとしてもだ。

 バルマー氏は以前、MicrosoftはAppleなど特定のユーザー層を狙っている競合他社とは違って、できるだけ多くの顧客に製品を広げようとしていると主張していたが、同社がコンシューマー分野で携帯ユーザー向けに展開している新たなプロモーションは、明らかに特定の層がターゲットになっている。有名ファッションデザイナーにWindows携帯向けの5種類のテーマをデザインさせているという手法だ。

 デザイナーの顔ぶれは、ダイアン・フォン・ファーステンバーグ、ベラ・ワン、アイザック・ミズラヒ、Rock & Republic、ロン・アラド。まるで「Microsoftブランドから連想しない名前はどれ?」というクイズの答えのようだ。

 だがMicrosoftは、少なくともモバイル市場ではそれを変えたいようだ。

 「これらのデザイナーの起用は、Windows携帯がコンシューマー分野にどう進出しているかを示す好例だと思う」とMicrosoftのマーケティングマネジャー、リズ・スローン氏は9月14日のWindows Mobileブログの投稿で述べている。「10月6日に登場するわれわれのWindows携帯はブランドの拡大を続けていく」とも。

 「スマートフォンは服と同じくファッション哲学であり、急速にマストなアクセサリーになりつつある」とスローン氏は付け加えている。「デザイナーが作ったテーマは、スタイルに合わせてWindows携帯をカスタマイズするのを手助けする方法を1つ増やしたにすぎない」

 別のデザイナー――服ではなくコードを扱う設計者――に関しても、Microsoftは似たアプローチを取っているようだ。

 Microsoftのデベロッパーエクスペリエンスチームの上級テクニカルプロダクトマネジャー、ローク・ウェイ氏は8月19日の会合で、モバイルアプリ開発者に「1ドルストアでアプリを売るよりも、(Microsoftのストアで)アプリを売る方がもうけになると宣伝したい」と語った。「皆さんのアプリは1ドルよりも価値があると思う」

 最近よく見られるが、Microsoftは両面作戦を進めているようだ。製品をできるだけ広い範囲にアピールする――MicrosoftがさまざまなメーカーとWindows Mobile 6.5を移植する契約を結んでいることから分かるように――と同時に、ロン・アラドのテーマ付きの携帯電話に30ドルのアプリを喜んでダウンロードするようなユーザー層向けに「限定」オプションを提供している。

 Microsoftはおそらく、自社のブランドを混乱させることなく、さまざまなユーザー層に訴求できるだけの規模があると思っているのだろう。だがAppleやGoogleなどのライバルが証明してきたように、時には単一のシンプルな表現(「世界中の情報を整理して、誰でもアクセスして便利に使えるようにする」「ぼくはMac」)で製品エコシステムを定義することが、話題を盛り上げる最善の方法になる。Microsoftが携帯市場でハイエンドユーザーと一般ユーザーの両方にアピールできる――両方に満足してもらえる――のかという疑問は、当面答えが出ないだろう。2010年後半に、iPhoneとPalm Preと互角に戦えるとされるWindows Mobile 7がリリースされるまではきっと。

 だが、わたしが知っていることが1つある。バルマー氏の前にiPhoneを置くことは、闘牛の前で赤い旗を振るようなものだということだ。

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