モバイルFlash断念はAppleの拒絶が主因――Adobe幹部が説明

» 2011年11月14日 07時03分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米AppleのiOSが採用しない以上、Flash Playerをモバイルに遍在させる道は閉ざされた――。米Adobe SystemsでFlash Platformのデベロッパー関係を担当する主席プロダクトマネジャー、マイク・チャンバース氏が11月11日(現地時間)、モバイル向けFlash Playerの提供中止について自身の個人ブログで説明した。

 mike chambers マイク・チャンバース氏

 Adobeは10日にモバイル向けFlash Playerプラグインの開発中止を発表した。チャンバース氏は、この発表では“なぜ”中止するのかの説明が不十分で、開発者コミュニティーへの配慮が足りなかったと謝罪し、理由を以下のように説明した。

 まず、モバイル版Flash Playerプラグインをデスクトップ版と同程度に普及させるには、主要なモバイルプラットフォームすべてで採用されることが必要だが、そうしたプラットフォームの1つである「AppleのiOSでは未来永劫Flash Playerが使えるようにはならない」ことが明らかだ。モバイルプラットフォームによるHTML5採用が拡大する現在、開発者にFlash版とHTML5版の両方を開発することを強いるよりは、HTML5ベースのソリューションを構築する方が理にかなっている。

 また、モバイルではデスクトップとは異なり、リッチなコンテンツを利用するために、Webブラウザではなくアプリを利用することが多い。従って、Flash Playerプラグインの必要性がデスクトップの場合より低い。

 さらに、リソースの問題もある。デスクトップの場合はWebブラウザベンダーと協力するだけで済むが、モバイル版の場合はプラットフォーム企業だけでなく、ハードウェアメーカーやプロセッサメーカーとも協力する必要がある。これでは拡張性も持続可能性も望めないので、リソースをHTML5にシフトする。ただし、「Adobe AIR」を利用すればAndroid向けに開発したFlash採用アプリを他のプラットフォームにも移植できるので、AIRの提供は継続する。

 デスクトップ版のFlash Player(Adobeによると、ネットに接続されるPCの99%以上にインストールされているという)については、ビデオ関連機能など、まだHTML5では実現できない機能もあることから提供を続ける。だが、HTML5とCSS3により、多くのことがFlash Playerなしに直接Webブラウザで実行できるようになりつつある。すべてのFlash機能がHTML5で実現できるようになるとは言わないが、開発者にはプロジェクトごとに開発ツールを検討するようお勧めする。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月06日 更新
  1. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【5月4日最新版】 1万ポイント還元や最大20%還元などの施策が充実 (2024年05月04日)
  2. 4万円台からの「Nothing Phone (2a)」は誰向けか Phone (2)との比較で分かったこと (2024年05月05日)
  3. 皆さんは「スマホにガラスコーティング」してますか? 私はしていません (2024年05月04日)
  4. ダイソーで110円の「ガラスコーティング液」は本当に使える? 試してみた結果 (2024年04月29日)
  5. 楽天モバイルがeSIMの不正乗っ取りについて注意喚起――安心安全に使えるeSIM環境を業界を挙げて取り組むべき (2024年05月05日)
  6. au PAYとPontaのキャンペーンまとめ【5月3日最新版】 最大20%や35%の還元施策あり (2024年05月03日)
  7. 最新デジアナ文具でスケジュールも手書きしてアップ!? サラサラ書き心地の良いゲルインキタイプも登場──NeoLAB「Neo smartpen A1」 (2024年05月04日)
  8. ガストやバーミヤンの「テーブル決済サービス」、楽天ペイも利用可能に レジへ行かずに卓上会計 (2024年05月05日)
  9. LINEの気になるトークや写真などを「Keep」する機能、8月28日で終了 同社がバックアップを呼びかけ (2024年05月04日)
  10. ドコモ販売ランキング:「Pixel 7a」人気がじわり再燃、「Galaxy S24」は10位に後退  (2024年05月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年