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» 2012年06月01日 10時48分 UPDATE

法制度・規制:先進の省エネ技術を取り入れた「ゼロ・エネルギー・ハウス」に補助金350万円

太陽光発電や蓄電池のほかに、床下冷熱や日射連動シャッターといった先進的な省エネ技術を取り入れた「ゼロ・エネルギー・ハウス」の補助金制度が進行中だ。住宅向けでは高額の1戸あたり最高350万円の補助金を受けることができる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 「ゼロ・エネルギー・ハウス」に対する補助金制度が、総額15億円の政府予算を使って進められている。エネルギー関連の補助金を数多く運営する「環境共創イニシアチブ」(SII)が6月22日まで申請を受け付ける。

 すでに家庭向けの補助金としては、太陽光発電や蓄電池、エネファームやHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)など個別の設備を対象にしたものが出そろっている。これらの設備を包含して、住宅全体の省エネ対策を総合的に評価するのが「ゼロ・エネルギー・ハウス」の補助金である。

 特に自然エネルギーを取り入れた先進的な設計手法が必要条件になっており、住宅メーカー各社が販売中の「スマートハウス」よりも高いレベルの省エネ対策が求められている。それだけに補助金も1戸あたり最高で350万円と高額だ。

ALT 図1 「ゼロ・エネルギー・ハウス」のエネルギー消費量の計算方法。出典:環境共創イニシアチブ

 「ゼロ・エネルギー・ハウス」は石油やガスなど従来型の「一次エネルギー」の消費量を実質的にゼロにできるように、さまざまな省エネ対策や太陽光発電などの創エネ対策を取り入れた最先端の住宅である(図1)。CO2の排出量を抑えることが目的で、政府は住宅とオフィスビルの両面でゼロ・エネルギーに向けた取り組みを推進している。

HEMSと太陽光発電が必要条件、ただし補助対象外

 運営主体のSIIが規定した「ゼロ・エネルギー・ハウス」の要件を見ると、広範囲にわたる省エネと創エネの設備が補助金の対象に含まれている(図2)。まず補助金を受けるための必要条件から整理すると、4つの項目がある。

ALT 図2 補助金を受けるために必要な設備と補助対象

 第1に住宅の断熱性能が省エネ法(正式名称「エネルギーの使用の合理化に関する法律」)で規定された基準に適合することが求められる。新築か既築かによって、基準は分かれている。

 第2に電力使用量を計測して見える化するための装置を導入する必要がある。ここで実装する機能はSIIのHEMSに対する補助金の場合と同様で、30分間隔の電力使用量を測定して、さらに1日単位のデータを13カ月以上にわたって蓄積して表示できることが条件になる。

 第3の要件は「ゼロ・エネルギー・ハウス」に特有のもので、自然エネルギーを生かした設計手法や制御機構が組み込まれていなければならない。SIIが例として挙げているのは「床下冷熱利用システム」や「日射連動シャッター」などで、自然エネルギーを活用する点で先進性のあるものに限られる。条件に合うかどうかは、事前にSIIに確認する必要がある。

 第4の要件は太陽光発電システムの設置である。「ゼロ・エネルギー・ハウス」には創エネの機能が不可欠なため、現時点で最も費用対効果の高い太陽光発電が条件に加えられた。

 ただし注意すべきは、これら4つの項目の費用が必ずしも補助金の対象にはならないことである。2番目のエネルギー計測装置と4番目の太陽光発電システムは対象外だ。いずれも別の補助金制度があるためで、複数の補助金を組み合わせることによって「ゼロ・エネルギー・ハウス」の全体をカバーすることができる。

「太陽熱」を利用したシステムは補助対象に

 一方、必要条件には含まれていないものの、補助金の対象になる設備がいろいろとある。省エネの効果が明確な空調、換気、給湯、照明設備のほか、太陽光ではなく太陽熱を利用したシステムも対象になる。さらに蓄電システムも対象に含まれているが、SIIが別の補助金制度を運営しているリチウムイオン電池を使ったシステムは除外される。

 以上のような条件のもとで、一次エネルギーの消費量を省エネ対策と創エネ対策によって相殺可能であることを数値で示すことができれば、補助金を受ける対象になる。装備する設備が広範囲に及ぶうえ、自然エネルギーを活用した先進的な要素を取り入れる必要があることから、かなりハードルは高いと言える。

 補助金の範囲は設備費と工事費の合計額の2分の1以内で、上限が350万円である。補助金を受けて住宅を建設した後にも、エネルギー使用量や発電量を3年間にわたって報告する義務がある。

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