消費電力実質ゼロの住宅に補助金、中小事業者を対象に国交省が事業計画の公募開始補助金

発電装置を備え、電力会社からの受電量を極端に抑える「スマートハウス」が相次いで登場している。中には、必要以上の電力を発電し、余った分を電力会社に売電可能とするものもある。国交省は、住宅の消費電力を実質ゼロにする事業を公募で募り、選ばれた事業に補助金を出す。

» 2012年05月14日 16時49分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 国土交通省は中小の住宅事業者を対象に、「ゼロ・エネルギー住宅」の計画の公募を始めた。対象となる業者は、直近3年間の年間平均新築住宅供給戸数が50戸未満の業者。新築住宅だけでなく、既存住宅の改築も対象とする。計画が認められた各業者は、建築、改築件数が10戸になるまで補助金を受けられる。

 補助対象は、住宅のエネルギー消費効率を上げるために必要な費用。国交省は例として断熱強化、躯体の高性能化、暖冷房設備、給湯設備、照明設備、換気設備、太陽光発電システム、太陽熱利用システム、コージェネレーションシステム、HEMS、蓄電池などを挙げている。このほか、事業内容を評価する委員会が認めたものも対象になる。

 補助率は補助対象費用の1/2以内。ただし、1戸当たりの上限は165万円。

 業者が応募に当たって計画を提出するときは、外壁、断熱材、断熱窓など住宅本体の改造と、照明、空調、給湯などの設備の改良によって、年間にその住宅が消費するエネルギー量(一次エネルギー消費量)を実質でおおむねゼロにする計画を立てなければならない。また、その計画は国土交通省が定める「標準的な住宅の一次エネルギー消費量が概ねゼロになるとみなす仕様」を満たしていなければならない。

 一次エネルギー消費量は、省エネ法が定める「住宅事業建築主の判断基準」に従って算出する。空調設備、換気設備、照明設備、給湯設備が消費するエネルギー量を合計し、太陽光発電システムなどの発電量も加味して計算する(図1)。

Energy Consumption 図1 一次エネルギー消費量の算出法(出典:建築環境・省エネルギー機構)

 一次エネルギー消費量を「実質ゼロ(ネット・ゼロ)」にするには、上記で示した設備で消費するエネルギーの合計を上回る量のエネルギーを発電システムやコージェネレーションシステムで発生させれば良い。

 業者を対象とした公募は2012年5月11日〜6月22日まで受け付ける。国交省は業者からの応募を受け、学識者で構成する審査委員会で応募を審査し、優れた計画を採択する。採択結果の通知は7月末の予定。補助金交付対象と決まった業者は、2012年中に事業を始める必要がある。さらに、事業を2014年1月末までに完了させなければならない。

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