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» 2012年08月15日 10時29分 UPDATE

サマーセミナー/電力の基礎知識(3):電力の供給源になる「発電」と「蓄電」

これまで電力会社に依存してきた日本の電力ネットワークが少しずつ変わり始めている。電力の供給源が急速に増えており、中心になっているのは太陽光発電だ。ただし天気の良い日中にしか電力を作ることができず、安定性に問題がある。その弱点を補うのが蓄電システムである。

[石田雅也,スマートジャパン]

セミナー1日目:電力を表す基本単位「kW」と「kWh」

セミナー2日目:電力の世界を二分する「直流」と「交流」

 発電と蓄電の関係を分かりやすい例にたとえると、雨水をバケツに溜めるのに似ている。雨が大量に降れば短時間でバケツいっぱいに水が溜まるが、雨の量が少なければ満杯になるまで長い時間が必要になる。それでもバケツに溜められる水の最大量は同じだ。バケツからあふれた水は取っておくことができない。

 雨を発電システムからの電力、バケツを蓄電システムに置き換えて考えてみよう。太陽光や風力、さらには水力も同様だが、発電できる電力は気象条件によって大きく変動する。一方で火力や原子力は発電できる電力が安定しており、電力会社が発電の中心に火力と原子力を位置付けているのも、この理由が大きい(図1)。 

denjiren_supply.jpg 図1 電力会社による発電方法の変遷。2010年の時点で電力の約6割を火力(石炭、LNG、石油、LPG他)に依存している。出典:電気事業連合会

 ただし発電した電力を蓄電システムに溜めておけば、必要な時に電力を取り出すことができ、再生可能エネルギーの不安定さを緩和することが可能になる。電力量に見合った蓄電システムを用意することで、安定した電力を供給し続けることができるわけだ。

最大の課題は発電と蓄電のコスト

 このところ人気のスマートハウスでは、太陽光発電システムと蓄電システムをセットで設置するケースが増えている。気象条件に合わせて昼と夜の電力を効率的に使い分けてピークを平準化し、電気料金を安くできるメリットがある(図2)。

panahome.jpg 図2 スマートハウスの標準的な仕組み。出典:パナホーム

 これと同じように、日本全国で夜間の電力を蓄電システムに溜めて昼間に使うことができれば、電力のピークを抑制することができ、夏の電力不足の問題を解消できる可能性がある。

 ところが大きな問題は蓄電システムの価格が高いことだ。日本の電力不足を解消できるほどの電力量を溜められるようにするためには、莫大なコストがかかってしまう。現在のところ蓄電システムの価格は溜められる電力量が1kWhあたり20万円以上にもなる。しかも寿命は5年〜10年程度と言われている。今後の量産効果と技術革新によるコストダウンに期待したいところだ。

 一方で太陽光をはじめとする再生エネルギーによる発電方法も、従来の火力などに比べてコストが大幅に高い。固定価格買取制度における太陽光発電の買取価格が1kWhあたり42円と、通常の家庭向けの電気料金の単価の約2倍に設定されているのは、そもそも発電コストが高いからである。

 今後いかに発電と蓄電のコストを下げることができるか。電力会社にとっても利用者にとっても極めて重要な課題になる。最近は電機メーカーに加えて自動車メーカーや化学メーカーなども発電・蓄電の技術開発に資金を投入し始めた。日本の今後の成長産業としても大きな期待がかけられている。

セミナー4日目:電力ネットワークの役割は「送電」と「配電」

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