キーワード解説「再生可能エネルギー」キーワード解説

固定価格買取制度が始まり、「再生可能エネルギー」という言葉が世間で話題になることがかなり多くなった。しかし、再生可能エネルギーという言葉がどんなものを定義しているのかを説明できる人は決して多くはないだろう。

» 2012年09月14日 11時15分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 再生可能エネルギーとは、太陽光を利用して作った電力など、自然の力を利用したものとイメージしている人が多いと思う。しかし、自然の力を利用した「自然エネルギー」がそのまま再生可能エネルギーということになるかというと、そうではない。

 地球温暖化に関する科学的研究データの収集、整理、評価を実施している国際的な機関である「気候変動に関する政府間パネル」は、報告書の中で再生可能エネルギーを以下のように定義している。

 「太陽、地球物理学的な動き、生物から得られるエネルギーであり、人間が消費しても、自然活動によって再び満たされるもの。そしてその速度が、消費の速度と同じかもっと速いもの」

 さらに、その例として太陽エネルギー、地熱、水力、潮波、海洋熱(海の表層と深層の温度差を利用して発電する方法が存在する)、風力、バイオマスを挙げている。簡単に言えば、自然から得られるエネルギーの中でも、枯渇することがないものということになる。

 石油や石炭、天然ガス、ウランなども自然から得られるエネルギー源だが、これらのエネルギー源はいずれ枯渇する。自然エネルギーのなかでも、いずれ枯渇するエネルギーは「枯渇性エネルギー」と呼ぶ。

 再生可能エネルギーの定義として、気候変動に関する政府間パネルによるものを引用したが、人や団体によって定義が少し異なることがある、例えば大規模な水力発電所から得られるエネルギーは、再生可能エネルギーとは言えないという意見がある。これは発電所を建設する際に、周囲の環境を破壊する必要があり、破壊した環境は元に戻らないからである。この意見に従えば、水力の中でも小水力だけが再生可能エネルギーということになる。

 現在のところ、再生可能エネルギーは人間が利用できる形にするためのコストが高くなるという欠点があるため、世界各国は石油や石炭などの枯渇性エネルギーを主たるエネルギー源としている。しかし枯渇性エネルギーには、温室効果ガスや放射性物質を排出するという問題がある。このような問題を重く見て、再生可能エネルギーの普及を促進させるために費用を助成している国もある。

 日本でも太陽光発電システムの購入者に補助金を支給するなど、再生可能エネルギーの普及を促進する動きはあったが、積極的なものではなかった。しかし2012年7月から、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まり状況は一変する。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスから得た電力を、政府が定めた価格で長期間(10〜20年)買い取ってもらえると決まったため、再生可能エネルギーに関連する開発が急速に進んでいる。

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本日6月18日に法令が施行、再生可能エネルギーの固定価格買取制度

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全量買取制度の買取価格原案、太陽光発電は42円

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平均0.3円を電気料金に上乗せ、再生可能エネルギーの利用者負担が7月から増加

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日本のエネルギー市場を変革する、新制度がスタート

待望の新制度が7月1日から始まった。日本のエネルギー市場を大きく変えるインパクトがあり、企業や家庭における電力の位置づけを根本から見直すきっかけになるものだ。この新しい制度の中身を理解して、これからの節電・蓄電・発電に対する取り組みを効果的に進めていきたい。


2030年に再生可能エネルギーを25〜35%へ、発電コストは1.8倍に上昇

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再生可能エネルギーの発電量、7月からの買取制度で2012年度に13%増加へ

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4つの再生可能エネルギーに注力、環境省が2030年の拡大戦略

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熱を利用した再生可能エネルギーの導入加速へ、40億円の補助金制度が始まる

太陽熱やバイオマス、さらには地中熱や雪氷熱など、自然の熱を利用した再生可能エネルギーの拡大計画が動き出す。経済産業省が民間企業や地方自治体などを対象に、40億円の補助金制度を5月30日から開始した。


九州がトップ、北海道が僅差の2位、再生可能エネルギーの設備規模

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一番高く売れる再生可能エネルギーは?

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洋上風力発電を7社が事業化へ、10年後に数百MWの発電所を建設

東芝や日本気象協会など7社が共同で、洋上風力発電の事業化を大規模に展開するプロジェクトに乗り出した。現時点で建設しやすい「着床式」に加えて、今後の拡大が期待される「浮体式」の開発と実験も進める。2012年度中に有力地域を選定して、風力などの観測を開始する予定だ。


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