蓄電池を併設した風力発電所、25MWで2017年に運転開始へ自然エネルギー

地域の再生可能エネルギーを拡大するために、自治体みずからが大規模な風力発電所の建設に乗り出す。岩手県は風速による変動を蓄電池で緩和する新しい風力発電所を2017年に稼働させる計画だ。115億円をかけた大型プロジェクトで、近く東北電力との間で電力受給の仮契約を締結する。

» 2012年10月16日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 岩手県が風力発電所を建設するのは、県北部にある一戸町の高森高原である(図1)。出力2.3MW(メガワット)の風力発電機を11基建設する計画だ。合計で25.3MWの発電規模になり、年間に約5300万kWhの発電量を見込んでいる。

図1 高森高原の風車設置イメージ。出典:一戸町企画課

 この風力発電所の特徴は大型の蓄電池を併設することで、風速の変化による出力の変動を緩和できるようにする。風力発電はほかの再生可能エネルギーと比べて出力が不安定な点に問題がある。風が強い時に発電した電力の一部を蓄電池に蓄えることができれば、風が弱い時に蓄電池から電力を供給して安定化を図ることが可能になる。

 発電した電力は全量を東北電力に販売する方針で、11月中にも東北電力との間で電力受給の仮契約を締結する。現在のところ大型の風力発電による電力は1kWhあたり22円で20年間の買取が保証されている。この単価であれば年間に12億円弱、20年間で約230億円の収入を期待できる。このプロジェクトの事業費は115億円を見込んでおり、十分に採算がとれる。

 ただし岩手県は2016年まで周囲の環境などに対する影響評価(アセスメント)を実施したうえで建設工事に入るため、運転開始は5年後の2017年になる予定だ。固定価格買取制度では買取価格を年度ごとに改定することになっており、徐々に引き下げられる可能性が大きい。2017年度の買取価格によって採算性を見直す必要が出てくる。

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