使用済みの食用油で発電、21万個のLED電球を連日5時間ともす自然エネルギー

東京都内を流れる目黒川の桜並木を使って、バイオマス発電によるLED照明のイルミネーションが11月29日から約1カ月間にわたって開催される。21万個にのぼるLED電球の電力には、地域の家庭や飲食店から回収した使用済みの食用油をバイオ燃料に加工して発電したものを100%使う。

» 2013年11月13日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 目黒川は東京で屈指の桜の名所として知られる場所で、川に沿って約4キロメートルのあいだに800本以上のソメイヨシノが植えられている。このうちオフィスビルやマンションが建ち並ぶJR大崎駅の周辺にある約1.5キロメートルで桜色のLED電球を使ったイルミネーションを開催する(図1)。

図1 川沿いの桜並木を照らす桜色LED電球。出典:目黒川みんなのイルミネーション実行委員会

 使用するLED電球の総数は21万3200個にのぼり、すべてをバイオ燃料による電力で点灯させる。開催期間は11月29日(金)〜12月25日(水)の27日間、点灯時間は夕方5時〜夜10時までの5時間を予定している。合計135時間にわたって21万個のLED電球が消費する電力をすべてバイオ燃料でまかなう。

 バイオ燃料の原材料になるのは地域の家庭や飲食店から回収した使用済みの食用油である。通常は廃棄処分されることの多い使用済みの食用油を精製して、バイオ燃料として再利用する。イルミネーション会場に設置した発電機のディーゼルエンジンをバイオ燃料で稼働してLED電球に電力を供給する仕組みだ(図2)。

図2 使用済みの食用油を活用した“エネルギー地産地消”の取り組み。出典:目黒川みんなのイルミネーション実行委員会

 このイルミネーションは東日本大震災後の2011年の同時期に開催したのが始まりで、今年で3回目になる。使用済みの食用油を使ってLED電球を点灯する試みは初回から続けている。“エネルギー地産地消”の意義を地域の住民や企業、さらには20万人を見込むイルミネーションの来場者に向けてアピールする狙いがある。

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