電力・ガス小売自由化へカウントダウン、裏で進むITシステムの突貫工事電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2015年07月09日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]
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 それでは、新たな電力事業を行うためにどういうITシステムが必要になるのだろうか。

photo 日本オラクル 電力・ガスシステム改革支援室 室長 田積まどか氏

 「発電/ガス製造業務」「送配電/業急業務」「小売業務」それぞれに絞って考えても、多くのITシステムが必要になる。例えば、発電/ガス製造業務においては、発電などに必要な燃料調達、設備管理・保全、卸売管理、供給管理などの業務が発生する。送配電/供給業務としては、検針管理、現地作業管理、配電/供給管理、託送管理などの業務が必要だ。完全自由化を控える小売業務では、CIS(顧客請求管理)、メーターデータ管理、CRM(顧客管理)、供給管理などの業務が発生する。

 「これらの複雑な業務をITシステムの助けなしに行うことは難しい。また、2016年に電力小売自由化を控える中、全てのシステムを自社内で最初から開発することも難しいといえる。パッケージシステムやクラウドサービスを上手に活用することが重要だ」と田積氏は語る。新規参入業者に向けたITシステム提案は、多くのITベンダーが活発に行っているが、オラクルの強みについて田積氏は「海外での実績とともに、小売から発送電、エンタープライズ領域まで、公益事業者の全ての領域をほぼカバーしたパッケージやクラウドサービスを提供できることだ」と語る。

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photo (上)は公益事業者に求められる業務機能、(下)はその各業務をカバーするオラクルのアプリケーション(クリックで拡大)出典:日本オラクル

人員を3倍に拡大し支援を強化

 日本オラクルでは、電力システム改革に向け、2013年4月に「電力システム改革支援室」を設置。今回、2015年7月8日に、ガスのシステム改革も見据え「電力・ガスシステム改革支援室」へと拡大した。人員も10人体制から30人体制に拡大した他、海外での実績を生かすために、オラクル本社のグローバル担当者を日本に常駐させるようにした。既に国内でも、日本海ガスの検針、料金管理、請求、債権回収などのシステムや、東京電力のスマートメーターの高速データ処理基盤などの導入事例(関連記事)を持つ他、「3〜5つの導入実績が出つつある」(三澤氏)という。

 当面は、既存の電力・ガス事業者を中心にITシステムの導入を進めつつ、新規事業者への取り組みも徐々に進めていくとしている。

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