ホンダは電気自動車の電力を、外部給電装置を通して医療機器に供給する実証実験を開始する。鳥取大学医学部附属病院と共同で行うもので、実証は2015年8月から。ポータブルX線装置、人工呼吸器、濃縮酸素供給装置、人工心臓システムなどに電力を供給する。
ホンダと鳥取大学医学部附属病院(図1)は2015年7月31日、電気自動車(EV)による電力を、医療現場などに供給する共同実証実験を同年8月から開始すると発表した。ホンダの外部給電用インバーター「Power Exporter CONCEPT 9000」(図2)を利用して、EVから医療機器に電力を供給する。
FCVやEVなどの電動車両は、発電と蓄電の両方の機能を持っている。ホンダはこうした特徴を生かし、災害時などを想定してFCVやEV「走る電源」として活用する実証実験を全国各地で進めている(関連記事)。
今回の実証で外部給電に利用するPower Exporter CONCEPT 9000は、ホンダが2014年11月に新型FCVのコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」とともに発表した製品だ。最大出力は9kW(キロワット)で、出力端子は100V電源×6個と200V電源×1個を備えている。
実証ではホンダのEV「フィット EV」の電力を、Power Exporter CONCEPT 9000を通して医療機器に供給する。対象となる医療機器は、超音波診断装置、除細動器、卓上吸引機、ポータブルX線装置、人工呼吸器、濃縮酸素供給装置、人工心臓システム、ドクターカーだ。
ホンダがこれまで公表しているこうした外部給電実証では、主な給電対象は博物館や住宅などが中心だったが、今回は生命にもかかわる医療機器への供給だ。ホンダはPower Exporter CONCEPT 9000について「さまざまな負荷に対応するノウハウと世界中の電圧・周波数に対応した電源技術により、家庭の電源と同じレベルの高品質な電気を供給することが可能」としており、EVやFCVなどの次世代自動車の用途拡大に向け、実証の成果には大きな期待が掛かる。
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