近づく小売自由化の足音、蓄電池に分散エネルギー社会の夢を見る――2015年記事ランキングスマートジャパン 記事ランキング2015(1/3 ページ)

2015年にスマートジャパンに掲載された記事の中で、最も読まれた記事は何だったのか。年間記事ランキングの上位記事を紹介するとともに、2015年のエネルギーニュースを振り返ります。

» 2015年12月28日 15時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 2015年も残りわずかですが、皆さまはどんな1年だったでしょうか。電力の小売全面自由化、新電力、再生可能エネルギー、水素社会……などなど、エネルギー関連ではさまざまな領域で注目の動きがあった1年だったように思います。本稿ではスマートジャパンで公開した記事の閲覧数によるランキングから、2015年のエネルギーニュースを振り返ります。2015年1月1日〜12月27日に公開した記事が対象です。

分散電源の鍵となる蓄電池、開発と実証が加速する1年に

 第1位は米Tesla Motoros(以下、テスラ)が2015年5月に発表した、蓄電池市場への参入を取り上げた記事になりました(第1位:テスラが蓄電池市場に参入、家庭用では7kWhで約36万円を実現)。電気自動車(EV)で知られる同社ですが、その中核部品となるリチウムイオン電池を自動車の“外”にも展開していく狙いです。EVベンチャーという枠を超えた動きでエネルギー市場の変革を狙うテスラ、そして日本国内メーカーも注力している蓄電池市場の動きは今後も注目です。

テスラが発表した家庭用蓄電池。最も安いモデルで約36万円からという低価格が話題に 出典:Tesla Motors

 なぜ蓄電池市場が盛り上がるのかといえば、蓄電池とその制御技術は分散型エネルギー社会を実現する上で鍵となる技術であり、今後大きな需要拡大が見込まれる市場だからでしょう。2015年は日本国内でも再生可能エネルギーの導入拡大に伴う系統安定化などを目的に、蓄電池を活用する実証試験が数多くスタートしました。今後は家庭においても蓄電池に“電気をためる”ということがもっと身近になるかもしれません。

 こうした動きと同時に現在使われている蓄電池の“次”を目指す、より高性能な蓄電池やシステムの開発も進んでいます。第10位には山梨県と鉄道総合研究所が2015年夏から実証を開始した、超電導技術を駆使して再生可能エネルギーの発電変動を吸収する「次世代フライホイール蓄電システム」を解説した記事がランクインしました(第10位:超電導による“世界初”の物理蓄電システムが山梨県で稼働、電力安定化の切り札へ)。

実証稼働がスタートした「次世代フライホイール蓄電システム」
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