電気保安もスマート化へ、技術支援機関の整備もIT活用(2/2 ページ)

» 2016年03月25日 13時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]
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リスクの再整備と技術基準の性能規定化

 リスクに応じた規制の再整備については、電気工作物そのものが持っている危険度について、メーカー担当者などの知見を集約し統一的に評価し全設備を同じ区分で階層図として整理することを目指す。これにより従来規制が重すぎたり、軽すぎたりするところを総合的に評価し、合理的な規制へと見直していく考えだ。2016年度はさらに保守管理などを含めた総合的な評価を引き続き実施し、検討の範囲を広げていくという。

 技術基準のさらなる性能規定化については、さらに枠組みを広げていく。現在は技術基準として仕様に近い形で規定されているが、性能要求や意図、関連する規格などを示すようにすることで、柔軟な解釈で創意工夫が行えるようにしていく。具体的には以下の3つに取り組んでいく(図2)。

  1. 核使用規定が担保しようとする安全要件(性能要求)を明記
  2. 国が行うべき最低限の要求事項となるよう規定の簡素化
  3. 適用可能な民間規格などを可能な限り活用(ただし、小規模発電設備や公衆が近接する電気使用場所にある電気設備については、国として詳細な仕様規定を維持する)
photo 図2 発電用火力設備の技術基準の解釈の見直しイメージ(クリックで拡大) 出典:経済産業省

技術支援機関「TSO」の整備

 行政を支援する技術支援機関(Technical Support Organization、TSO)の整備にも取り組んでいく。具体的には製品評価技術基盤機構(NITE)が2016年度からTSOとして事業を開始。順次体制を整備していく。事故が起きた際の事故情報の分析や、ハード面での安全性に関わる技術的な問題について、判断や調整ができるようにしていくという(図3)。

photo 図3 TSOの果たす役割のイメージ(クリックで拡大)出典:経済産業省

 現在、IoTを活用した産業構造の革新などが大きな注目を集めているが、これらの技術進化を電気保安領域にも適用できるバックアップ体制を構築することで、電気保安業務の効率化や人材不足・スキル不足の問題解決につなげていく方針だ。

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