『一勝九敗』――ユニクロが勝ち続けるのはなぜか藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー

英国進出失敗、食品事業撤退、社長交代にその後の復帰――。ユニクロの柳井社長は挑戦と失敗を繰り返した。停滞期にこそ、成功の鍵がひそんでいる。ビジネスパーソンもスランプ期こそ大事にすべきだろう。

» 2009年07月31日 15時45分 公開
[藤沢烈,Business Media 誠]
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 不況下でもユニクロが絶好調なファーストリテイリング。その経営をリードする柳井正社長の経営書が『一勝九敗』である。書名の通り、数々の失敗急成長の原動力になっていることが分かる。

失敗が成功の原動力

 柳井氏が社長に就任したのは1984年。その年にユニクロ事業も始まった。その後業績は緩やかに伸びるが失敗も多い。関東に進出しても伸び悩み、ニューヨークのデザイン事務所は3年半で閉じ、スポクロ・ファミクロといった新業態も1年で撤退している。しかし、そうした挑戦の先に1998年の原宿店成功とフリースブームが繋がっている。

 英国進出失敗、食品事業撤退、社長交代にその後の復帰と、ユニクロが有名になった後も柳井社長は挑戦と失敗を繰り返した。その試行錯誤の上で、日本経済全体が落ち込んだにも関わらず、今期はフリースブーム以来の利益を達成しようとしている。柳井社長がチャレンジを止めない限り、ユニクロはまだまだ成長するだろう。

スランプこそが鍵

 ユニクロもそうだったように、マスコミや世間は成功している間のみ持ち上げる。しかし、世間から評価されていない停滞、失敗期にこそ、成功の鍵がひそんでいる。若手ビジネスパーソンも、入社数年後に待ち受けるスランプ期こそ大事にすべきだろう。

著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)

 RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。


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