連載
» 2012年06月19日 16時55分 公開

文房具カフェで感じた、ビジネスに通ずる差別化戦略「この指とまれ!」で考えよう

6月15日にオープンした「文房具カフェ」に行ってきました。新規サービスや製品を考える際には、来て欲しい顧客を起点とした切り口を加えることが大切だなあ、とつくづく思ったのでした。

[林田 浩一,Business Media 誠]
誠ブログ

 今どき、あらゆるビジネスにおいて差別化(※)を考えないことはまずありません。

(※)シチュエーションによって、イノベーションやブランディングと表現する場合も含みます。

 ただ、注意したいのは「差別化=新しいこと=今までに見たことも、聞いたこともない発明」ではないということ。差別化のコアとなるのは、ちょっとした視点や切り口の新しさだったりします。古典(?)ともいえるジェームス・W・ヤングの著書『アイデアのつくりかた』にも書いてあります。「アイデアは新しい組合わせである」と。

文房具カフェで感じた顧客を囲い込む“空間作り”

 さて先日、友人が起ち上げ支援に関わった「文房具カフェ」のオープニングレセプションに行ってきました。店内は「人と文房具が出会うことで、新しい何かが生れる場所」とうたっているだけあり、飲食だけでなく、少し特徴のある文房具の販売コーナーがありました。他にも文房具に関した書籍が並ぶライブラリーもあり、カフェなのか? サロンなのか? という空間構成になっていました。


  2012年6月15日、表参道にオープンした「文房具カフェ」

 レセプションは、昼夜の計2回。私は夜の部に少し遅れて参加しました。入ってみると、店内は床も見えない人だらけでビックリ。せっかくなので来場者の様子を観察してみると、展示している文房具を手に取ったり、書籍に手を伸ばしたり、その表情は、皆さん子供みたいで楽しそうにしているのが印象的でした。

 そんな様子を眺めつつ、私は「この文房具カフェは利用者のエクスペリエンス(体験)が重要になるのだろう。よって、そのための空間デザインは、カフェの部分もさることながら文房具の部分がポイントになりそうだなあ」と思っていました。



 ユーザーエクスペリエンスという視点で面白いのが、座席のテーブルです。文房具カフェのテーブルには、鍵の掛かった引き出しが付いているのです。そしてその引き出し、最初に700円を支払って「文房具カフェ オフィシャル会員」になると、写真のようなカギがもらえ、会員は、引き出しの中にある文房具や秘密の何やら(?)を利用できるそうです。

 ちなみに、面白そうなので私も会員になってみました。鍵の番号は「No.48」。私の後にも次々と人が申し込んでいたので、その日だけでも「カフェに来て座ったら引き出しを開ける」という行為を楽しそうと感じた人は、それなりのボリュームでいたようです。

 普通にお茶をする空間としてのカフェだと、顧客のほとんどは、たまたま出先で見掛けた、という人が多いのかもしれません。文房具カフェは、わざわざやって来る人を上手く囲い込むことができそうです。営業時間は7時30分〜23時30分。私はまだレセプションでしか見ていないので、鍵を使いにまた行ってみたいと思います。

「この指とまれ!」が見えるモノやサービスがいい

 今回まさしくオープン直前の文房具カフェをのぞいたからではありませんが、来て欲しい顧客を起点に切り口考え、モノやサービスの商品にパッケージして、「この指とまれ!」と掲げること。これって大事だなあと、最近あらためて思います。

 私は2011年から、新規事業でオリジナルの最終プロダクトを起ち上げたい中堅・中小企業を対象に、「マイクロものづくり経営革新講座」という事業開発、商品開発セミナーの講師をしています。そこで受講者(主に2代目経営者)の様子を見ていると、特にそのことを思うのです。

 中でも中堅・中小企業は、「他社より安い」を続けていくのは体力的にも限界があります。よって、自社で決められる範囲が広い最終プロダクトを持つのであれば、「この指とまれ!」は必要だと考えます。

 これまでの受講生も、自社の「らしさ」がある切り口を見つけることへのしつこさ度合いで、講座卒業後の行動も変化しています。6月末には、現在進行中の第3期受講生が講座の締めとなる最終発表会を迎えます。せっかくの受講が単なる知識習得にとどまらず、講座終了以降の新しい「この指とまれ!」な行動につながるってほしいと思います。

 一見すると、新しさなんて作りようがない感じがするビジネスや業界でも、視点や立ち位置を変えれば新しい顧客が見つかるかもしれませんよ。文房具カフェの試みも、その1つと言えそうです。(林田 浩一)

※この記事は、誠ブログ「デザイン、マーケティング、ブランドと“ナントカ”は使いよう。:視点を変えれば... 〜文房具カフェ・オープニングレセプションにて〜」より転載、編集しています。

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