一方でHさんは、Sさんとは正反対の性格。真面目すぎるところがあり自分の苦手なものにも正面から向き合って、ちょっと無理をしてでも苦手なところを克服しようとするあまりそれに疲れてしまうような人でした。大変なことをすべて自分で抱え込んでしまうために、収拾がつかなくなるタイプです。
オールマイティになれることなんて、めったにないのです。野球を例に考えてみましょう。剛速球や変化球が自在に投げられ、ホームランを多く打てて、足が速くて守備もうまいなんてことは稀でしょう。人は誰でも、得意・不得意があるもの。自分が不得意なところまで無理してカバーするよりも、得意なところを伸ばすほうがいい結果を出せますし、何より自分が楽しめるはずです。
Sさんは現在、国立大学の医学部で40歳そこそこにして准教授。しかも、哲学や音楽にものめり込むなど、好きなことばかりしています。いわゆる、よくありがちな「学者バカ」的なタイプとは一味違う研究者でしょう。
ヨーロッパ時代の先生や同僚とは、今でも交流を持っています。国境を越えて共同研究を積極的に展開するなど、仕事の上でつながりがあるのはもちろん、人間的にも一目置かれ友人としてもリスペクトされています。
「空気を読まない」というと、「周囲に気遣っていない」だとか「わがままだ!」というイメージがあるかもしれません。でも、空気を読まないことが、周囲に迷惑をかけたり不快な思いをさせたりとは限らないのです。Sさんの場合は、彼を助ける仲間がいい思いをするわけですから、空気を読まないことがむしろプラスに働いています。
「得意なことだけを貫く」。これは一見、自己中心的なようですが、好結果を残すには大事な要素なのです。これを実践しているSさんこそ「世界で活躍できる頭のいい人」だと思うのです。
(次回は、「決まった儀式を行う」について)
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