本田直之さんの“レバレッジプレゼン術” 33のポイント【後編】:keynoteでプレゼン
東京・銀座のアップルストアで、レバレッジコンサルティングの本田直之さんがレバレッジの利きそうなプレゼン術を講演。一体、本田さんはどうやってプレゼン術を学んだのか。
「本田直之さんの“レバレッジプレゼン術” 33のポイント」の後編では、本田さんがどのようにプレゼン術をトレーニングしたかを紹介しよう。
見て、質問して、買った
「何をやったかというと、4つだけ」だという本田さん。
- Keynoteのチュートリアルページを見た
- One to Oneで質問した
- Podcastでジョブズのプレゼンを見た
- リモコンを買った
Keynote初心者に最もオススメというのが、アップルのWebサイトにあるKeynoteのチュートリアル動画を見ること。「トランジションの例や、Keynoteで作ったファイルをPowerPointとどうやってシェアするのかなど。テキストのマニュアルでみるとうんざりしちゃうんだけど、チュートリアルは動画。僕は全部見たけど、格段にレベルアップする」
動画のチュートリアルを見てから実際にプレゼンテーションを作ってみると当然疑問もわいてくる。そんな疑問や質問はアップルストアの「One to One」を利用した。One to Oneは、直営のアップルストアで専門のスタッフが直接アドバイスしてくれる有償のサービス。本田さんは渋谷のアップルストアで質問したという。
さらに「Apple」「Keynotes」といったキーワードでiTunesを検索。スティーブ・ジョブズのプレゼンを探した。「発表会場でライブでみると、どうしてもその時に発表された新製品に注目してしまうが、後で見ると、どんなフォントを使っていたのか、どんなトランジションだったのか、トークのタイミングはどうだったのかなどじっくり観察できる。アップル以外のCEOなどのプレゼンもよく見るね」
このほか、経営コンサルタントであるトム・ピーターズ氏のWebサイトも参考になるという。「PowerPointファイルを全部Webページで公開している。もともとマッキンゼーに勤めていた彼のプレゼンテーションは勉強になる。ただ、フォントの使い方などが独特で、ちょっとクレイジーな感じだけども」
いざプレゼンする場面になって重宝しているのが、プレゼンファイルを操作するリモコン。リモコンがないと常にPCの前で操作しなくてはならないし、PCを操作するスタッフが別にいたとしても、身振り手振りの合図はプレゼンに違和感を与えるし、うまく伝わらないでもたついたりするのだ。
本田さん自身はマウスとしても使える兼用タイプのリモコンを使っているが、「実際やってみたら、マウスがないタイプでいいですね。もっと小さいのもあるし、マウスの機能はほぼ使わないので」という。
本田さんお気に入りの機能は……
Keynoteで本田さんが特に気に入っている機能がある。「この機能を知って、Keynoteはすごいなと思った。本気でかっこいいプレゼンをしたいと作ったんだろうな」――。それは発表者用の画面である。
Keynoteでは会場のスライドに映し出される画面と発表者のPCに映る画面が異なる。発表者の画面には、現在時間や経過時間が分かったり、メモが貼れたり、次のスライドが分かったりするようになっているのだ。
プレゼンでよくあるのがタイムマネジメントがうまくいかないケース。ちょっとしゃべりすぎちゃって、最後の最後で駆け足でっていうことがよくある。そもそもの作り方が長かったのかもしれないし、単純に割り振りがうまくいってないかもしれない。
本田さんはタイムマネジメントのために、発表者用の画面に表示した時計だけでなく、メモ機能を活用。メモに目安の時間を書いて、いくつかのポイントになりそうなスライドに張っておくのだ。「先に時間を決めて、10分おきぐらいに大事なスライドに張っておく。スライドが遅れているか早いかのシミュレーションになる」
「昔は紙に書いたり、プリントアウトしたりして手元に置いていた。すると『あれ、どこやったっけ』となったりする。いちいち紙を探すのもやぼったいし。演台に時計をおいてくれることもあるが、目線が分散しちゃうのも嫌だよね」
それからスライドごとに注意書きを書き込めるノートもポイントだ。「PowerPointのころはあまり使ってなかったけど、今は会場に見せる分はシンプルにしているので、ノートにセリフなどを書き込んだりしている」。次のスライドもお気に入り。「プレゼンテーションには流れがある。次のスライドが確認できるのはすごい便利」
プレゼンもストック型スキル、一度覚えてしまえば永遠に使える
「常に時間はたっぷりある。うまく使いさえすれば」というのはゲーテの言葉。「忙しいから本が読めないというのは違う。本を読まないから時間がないのです」。つまり本を読むことで、自分自身の考えを洗練させたり、スキルアップし、その結果使える時間を増やすというわけだ。まさにゲーテの言うとおりである。
こうした一度覚えてしまえば永遠に使えるスキルを本田さんは「ストック型のスキル」と読んでいる。例えば小学校のころに習った九九であったり、自転車の乗り方だったりする。いずれも小さいころに苦労して習得したスキルだが、今は何も気にせずに活用できる。
PCであればタッチタイピング。米国に留学した時はいわゆる“1本指打法”だったという本田さんだが、「英語も話せない、タッチタイピングもできないのではアメリカ人に勝てない。まずはここだけでもやつらよりも早くやろう」と決めた。タッチタイプのソフトを3日やりこんだら劇的に改善したという。
「(ストック型のスキルは))一生に渡って利益を享受できる。1日10分のロスだとしても、1年間だと結構な時間になる。スポーツも同じだけど、最初に多くの時間を投資すると後でものすごい時間の節約になる。多くの人はやりながら覚えようとするので、時間を投資しない。お金の投資よりも、時間の投資にうまくなった方が絶対にいい。時間の投資を間違えちゃうと、なかなかうまくいかない。忙しくてやりたいことがうまくできない原因は時間の投資が間違っているんです」
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