iPad専用スキャナ「iスキャミル」にみる最新ポータブルスキャナ事情:仕事耕具(3/3 ページ)
iPadを接続して使うドッキングスキャナ「iスキャミル」。このiスキャミルを使いながら、最新のポータブルスキャナのトレンドや、製品選びのポイントについて見ていこう。
画像やメモなど1枚単位の文書を自分用に保存するための入門機
以上のような特徴から考えると、本製品は両面印刷のビジネス文書を取り込む用途よりも、画像やメモなど、1枚単位の文書をデジタルデータとして取り込み、自分用に保存するための製品と言える。PCよりもiPadの利用頻度が高く、スキャナの類は持っていないユーザに対する、入門機という位置づけになるだろう。
また、ここまでの検証でお分かりいただけると思うが、本の自炊などにはまったく向かない。たくさんの枚数を一括して取り込むのに向かず、さらに片面ずつしかスキャンできないからだ。一方で名刺の取り込みには実用的だと思うが、iPadに名刺を取り込むニーズはiPhoneに比べるとあまり多くないと思われるので、なんとも判断が難しいところである。
価格については、実売想定価格が1万5540円と、実売2万円台前半のコンパクト型ドキュメントスキャナとの価格差は数千円程度。読み取り後の確認がたやすいという意味で、ポータブルタイプのスキャナの中ではおすすめできる製品であることに間違いはないのだが、ドキュメントスキャナとの機能差まで含めて考えた場合、冷静にチョイスしたほうがいいだろう。
また、最大の特徴であるスキャン時のアニメーション効果も、見た目のインパクトは大きいが、しばらくして飽きてしまうとむしろ目障りになる可能性がある。電子書籍のページめくり効果と同じく「そんなアニメーションをしている余裕があれば処理速度を早くしてくれ」というわけだ。もちろんオフにできたところで処理速度がそうそう変わるとは思えないが、形だけでもオンオフできる機能があったほうがよい気もする。
さらに冒頭の動画でお気づきになった方も多いと思うが、このアニメーション効果、原稿が取り込まれるスピードと、画像が下からせり上がってくるスピードが一致していないなど、最大の特徴であるにもかかわらず作り込みが甘い。取扱説明書を見ると「iPadのスクリーン上に画像のすべてが表示されたらスキャンは完了です」とあり、どうやら処理が終わるのを待って表示させているようなのだが、体感的には原稿が取り込まれる速度に合わせて画面上にプレビューを表示し、内部の処理は後回しにすべきではないだろうか。
――と、もろもろ気になる点を挙げたが、ハードウェアを除く挙動については、アプリ側のチューニングでいくぶん改善できる可能性もある。これまでのポータブルスキャナの欠点を改善した意欲作であることは間違いなく、またOCR対応など機能追加も予定されているとのことなので、今回試用した機材が発売前の評価機であったことも踏まえて、今後ますます進化していくことを期待したい。
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