これまでのPR手法が通用しない!? アパレル業界が次にとる一手とは(3/3 ページ)

» 2016年08月01日 06時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]
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アフィリエイトを“やらない”選択

 Web×アパレルのマネタイズを考えると、ECサイトと連動したマージンやアフィリエイトなどが想定される。しかしTOPLOGでは、ECサイトと消費者をつなぐ導線にはなるが、自社でECサイトの運営もせず、購入先での行動に応じたベネフィットをもらわない仕組みにしている。

 「アフィリエイトをやると、そちらで売り上げを立てたくなる。そうなるとユーザーが本当に求めている情報ではなく、こちらが売りたい商品のページが増えてしまう」

 主なマネタイズはタイアップ記事。ファッション誌の3分の1ほどの費用で、モデルを使ったタイアップ記事をアプリに掲載する。

 TOPLOGは現在「投資の時期」と亀山さんは語る。アプリリリース時に設定した1年後のダウンロード目標は100万だが、現在約4カ月で30万。

ダウンロード数は30万突破

 「これはかなり予想通りの数字。まずファッション業界に向けて認知を高め、スタイリストやモデルといったアーリーアダプターが知っているアプリになっている」

 ただし、「知る人ぞ知る」になってはいけない。レイトマジョリティーにも届くように、コンテンツの分析を行っている最中だ。17年の春までには普及を狙っていると語る。

新しい挑戦をするための“土曜日の過ごし方”

 新しいことに次々に挑戦していく亀山さん。前例がない場所に踏み込んでいくのは不安ではないのだろうか。

 「『やりたい!』と思ったらとことんやる。やりたいことをやるにはどうすればいいのか、前例や過去にこだわらずに考えて実行する。もちろん賛否両論が集まるし、不安で寝れないときもある。当然リスクもあるが、『リスクがあるからやらない』ではなく、『このリスクは解決すべき課題』と考えてクリアしていく。死ぬときに『やりたいことをやれたな』と自分に対して思いたい」

 自分がやりたいことを決めて、「メディア」という旗を立てて、情報を整理する。仮説を立て、計画を整理して、業務に落とし込む。そしてその業務を成立するための組織を固める。

 アライアンスを決めて、ポートフォリオをつくり、タスクをかきだし、スケジュールを組む。担当者を決めて、マネジメントする……。挑戦が多いといっても、組織作りや方向性を決めるのは感性よりも理論だ。

 亀山さんの作る組織は、下の意見を吸い上げて、上が舵(かじ)を切っていくタイプだ。販売店舗の“現場”に行って、店頭の様子を見る。店舗に立つ社員からダイレクトな客の反応を聞き、立てた戦略の「答え合わせ」をするとともに、次の戦略を練っていく。

 「トップの能力を上げたほうが、会社の成長に直結する。だからまずは自分自身が成長できるようにしたい」

 そのために亀山さんは、やるべきことを壁に書き出して、できるまで消さない――というやり方を取っているのだとか。ずっと消えなかった課題は意外にも「土曜日の過ごし方」。アイデアを考えるために土曜日を使う予定だったが、直近の問題解決に頭を使ってしまうからだ。

 「それよりも、“よりお金をつくりだす”方に考えを深めれば将来的にはユーザーやスタッフをHAPPYにさせる投資ができるし建設的。とはいえ、気持ちの切り替え方法を生み出せずにいることもあったが、最近は朝お笑いの動画を見ることにしている。1回お笑いに集中すると、頭がからっぽになる」

 特に「キレギャグ」がお気に入りなのだとか。気持ちの切り替えがうまくないことに悩みを抱いている方は、亀山さん流の解決法はいかがだろう。

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