小日向: 日本で最初に真田一族がブームになったのは江戸時代で、そのきっかけは1672年に書かれた軍記物『難波戦記』だと言われています。大正時代に入ってからも『猿飛佐助』や『真田十勇士』といった文庫本が爆発的に売れるなど、元々、日本で真田一族は人気でした。
そういう素地があったのに加えて、歴史家の加来耕三先生が先日おっしゃっていたのが、2020年の東京オリンピックをきっかけに時代が大きく転換するであろう現代の日本に、真田丸の時代感がマッチしていて、共感する人が多かったのではないかということです。
編集部F: ん、具体的にどういうことですか?
小日向: 徳川勢と豊臣勢が戦った大坂の陣で、名実ともに戦国の世は終わります。つまり時代の大きな転換期に当たるわけで、それと同じように転換期を生きている今の時代の視聴者が、真田丸の時代を生きた人たちから学ぶことは多いのではというのです。
編集部F: なるほど。ほかに人気の秘けつは?
小日向: 長澤まさみさんが演じるきりちゃんにあえて現代の言葉で話させるなどして、分かりやすさ、親しみやすさを追求した結果、これまで歴史や大河ドラマに興味がなかった若者層を取り込むことに成功したと思います。そして、彼らが毎回ドラマの内容で盛り上がり、Twitterなどのソーシャルメディア上で広く拡散したのがこれまでの大河ドラマと比べて異なる点かもしれません。
例えば、真田丸」を略して「丸」というのが流行りましたよね。NHK総合よりも先に放送するBSを「早丸」、本放送を「本丸」と呼んだり、ドラマで好きな場面をイラストに描いて「丸絵」というハッシュタグを付けて投稿する人がたくさん出てきたり。その盛り上がりを受けて、岩櫃城(群馬県東吾妻町)のイベントでは丸絵展が開かれました。
また、ハッシュタグに関して、NHKが公式に使っているのは「#真田丸」「#真田RED」だけですが、ファンの間でほかにもいろいろなハッシュタグが使われていたのが印象的でした。
編集部F: 真田昌幸がドラマで死んだときには、ソーシャル上で「昌幸ロス」という言葉も飛び交いましたね。
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