インタビュー
» 2019年03月29日 06時15分 公開

「マシリト」こと鳥嶋和彦が語るキャリア論【後編】:ジャンプ「伝説の編集長」がFGO誕生に関わった“黒子”、電ファミニコゲーマー編集長と考えた「ドラゴンボールの見つけ方」 (2/8)

[今野大一,ITmedia]

「天下一武道会」設定の真相

――それで『ドラゴンボール』は一話読み切りではなく、ストーリー漫画になったのですね。

鳥嶋: そう。鳥山さんから「描いたところで終われるからストーリー漫画は楽ですね鳥嶋さん」と言われました(笑)。『ドラゴンボール』のときも読者への渡し方は考えませんでしたね。もう読み切りでキャラクターの人気があることは見えていましたから。ところがその後、人気がじりじり落ちていって……大変な苦労をすることになるとは夢にも思いませんでした(笑)。

 いわゆる西遊記をもとにしたロードムービー風のストーリーを作っていたのですが、人気が落ちていきました。このままいくと10位以下になってしまう。終わりそうだ、と。

 鳥山さんとは毎日電話で話していて、結果「主人公である悟空のキャラクターがはっきりしない」という結論になりました。1週間ほどディスカッションを重ねて、悟空は「強くなりたい」というキャラクターじゃないか、と考えて、これが読者に伝わっていないという仮説ができました。それで悟空のキャラクターを立たせるために、亀仙人と悟空以外のキャラクターは一度、捨てることにしました。

 悟空に対比させるためのキャラクターとしてクリリンを作り、この3人で修業編をやって、「天下一武道会」で成果を見せる。努力しているシーンは見せませんでした。強くなったシーンを見せれば努力したことは分かるからです。天下一武道会をやったら狙い通り人気が出ました。

 読者にどう作品を渡すのか。僕ら編集者は、読者の反応がいつも一番怖いわけです。なぜならごまかしが効かないから。『少年ジャンプ』の読者は子どもなので作家名では読まないんですよ。面白いかどうかだけなんですね。

phot 悟空のキャラクターを立たせるために、一度、亀仙人と悟空以外のキャラクターを捨てた(撮影:山本宏樹)

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