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» 2019年07月22日 05時00分 公開

マシリトが行く!:『ジャンプ』伝説の編集長が語る「21世紀のマンガ戦略」【後編】 (5/8)

[伊藤誠之介,ITmedia]

漫画・アニメ・ゲームで儲けたお金は、市場に返す義務がある

――漫画家を発見・育成していくのが編集者だというお話だったんですけど、会社として編集者を育成していくことについて、何かお考えをお持ちですか?

鳥嶋: ……それは今、僕が悩んでいる問題の1つなんですが。今までなら、職人の世界と一緒ですよね。「先輩の背中を見て学べ」とか「見て盗め」と言っていて。それがなぜ、可能だったのかというと、漫画雑誌自体が右肩上がりだったから。乱暴な編集の仕方でも成功体験が得られたので、その中で学んでいくことができた。

 今、非常に厳しいのは、漫画編集者になった瞬間に、会社の中で利益を上げて数字を残さなきゃいけないというプレッシャーがあって、失敗することが許されない。そうするとやっぱり、なかなか育つのが難しい。

 そのことにおいて、今、きちんとやるべきは、漫画のメソッドとか基本を教えることじゃないかな。さっき言った漫画の文法的なことを含めて。その上でどう漫画家に対するか、というふうになっていかないといけない。そろそろ出版社がちゃんと本腰を入れて、編集者を育て、社員を育てるということを考えなきゃいけない時代が来ていると思います。

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――漫画で食べていく方法って、いっぱいあると思うんです。広告用の漫画を作るとか、雑誌以外の形で収入を得るとか。漫画を描きたい人たちのゴールが多様化してきているなかで、雑誌で編集者と組むことのメリットを、どういうふうに考えているのですか?

鳥嶋: 儲かるのがちょっとの金額でいいんだったら、編集者をつけないほうがいいと思うんです。編集者にいろいろダメ出しされて面倒くさいので。ただ、大金を儲けようとか、自分の描いているものをうんといろんな人に伝えようと思うんだったら、編集者とつきあったほうがいいと思う。

 なぜなら、編集者はいろんなことのチャンネルだとか、どこにどう行けばお金を持っている人がいるかということを知っていて、マッチングできる。つなげることができるんですね。

 ただ、気をつけなきゃいけないのは、どの編集者を選ぶかということですね。病気になった時にどのお医者さんを選ぶのかと一緒で、ちゃんとした情報がないんです。ここをどう探すかというのは、非常に難しいんじゃないかな。だからそこは口コミとか、知っている人を頼って探すしかないんじゃないでしょうか。残念ながら。

 だからできれば、いろんな編集者がマッピングされて、評価が出てくるといいと思うんですけどね(笑)。

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