強い組織を作る人事の技
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» 2019年09月06日 05時00分 公開

激化する人材争奪戦:NEC「新卒年収1000万円」の衝撃 年功序列の廃止か、「3流国への没落」か (4/5)

[中西享,ITmedia]

チームワーク志向が強い日系企業

 ここまで見てきたように、NEC、ソニー、NTTコミュニケーションズ、DeNA、富士通といった企業は、遅ればせながら給与制度の改革に乗り出してきている。だが、日本企業の多くの給与制度は依然として年功序列型のままだ。一部では能力給が導入されるなど変わりつつあるが、技術・研究職でも給与に占める年功部分の比率が大きい。

 日本企業はチームワークを大事にしてきたため、個人の能力を評価したがらない企業風土が根強い。技術革新のスピードが速い今の時代は、まさに個人のアイデアが企業の命運を担う。このため、技術志向の企業は、チームワークは必要ではあるが、個人の能力を最大限生かせるような給与制度に改めるべきだろう。

 しかし、一部の社員だけが飛び抜けて高い給与が支給されると、他の社員の労働意欲や士気が低下する「モラールダウン」が広まる恐れがある。経営トップは、そうしなければ会社として生き残れないことを社員に対して明確に説明する必要がある。

 今年の経済財政白書でも年功序列制度の見直しが指摘されている。この制度の壁を壊さない限り、日本企業からは世界で通用する斬新な製品は生まれてこないのではないか、という見方もある。一方で、給与を釣り上げて人材を採用すると、短期間での成果を追い求めるようになり、じっくり長期間行う研究が疎(おろそ)かになりがちになる点を指摘する専門家もいる。

 このバランスが難しい面があるが、人材を集める手段としては、ライバル企業に取られないためには待遇を手厚くせざるを得ないようで、日本企業は技術系人材を採用する上で、転換点に来ているのかもしれない。

phot 経済財政白書でも年功序列制度の見直しが指摘されている(内閣府のWebサイトより)

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