第二次世界大戦が終わり、世界は経済を復興させなければなりませんでした。ブレトン・ウッズ体制の世界経済への貢献は計り知れません。その後、アジア金融危機が発生し、バーゼル合意が主張するリスクコントロールは、さらに重視されるようになりました。しかしそれ(バーゼル合意)は発展、若者への機会提供、発展途上国の機会の所在は考慮しませんでした。だから今の世界のさまざまな問題の根っこになっています。バーゼル合意そのものが欧州において金融デジタル化のようなイノベーションを大きく制約していることはお分かりでしょう。
バーゼル合意は老人クラブと呼ぶべき存在です。バーゼル合意が解決しようとした問題は数十年続いてきた金融システムの老化の問題で、複雑なシステムという問題です。しかし、中国の問題は全く反対です。中国の金融システムには基本的にリスクはありません。システムがしっかりしていないリスクはあります。
中国の金融は成長段階にある発展途上国と同様で、金融業は青少年です。成熟したエコシステムが形成されておらず、スムーズに機能しているとは言えません。大銀行が大河、血液の動脈の役割を果たしていますが、湖やため池、小川も必要です。多様な沼沢地が求められています。このようなエコシステムがなければ、冠水が起きては死に、日照りが起きても死にます。
つまり、中国は健全な金融システムがないことがリスクであり、これらを構築しなければなりません。痴ほう症と小児麻痺の症状は似ていますが、全く違う病気です。子供が痴ほう症の薬を飲んだら、老人の病気だけでなくわけの分からない病気にかかる恐れがあります。バーゼル合意はシステムの老化、過度の複雑化という老人の病の治療を目的としています。私たちがこの老人を見て、何を学ぶべきでしょうか。老人と若者は関心対象が違います。老人の関心は病院があるかどうかで、若者の関心は学区があるかどうかです。思考回路がまるで違うのです。
昨夜、アント・グループの公募価格が確定しました。私は誇らしく思います。メガテック企業がニューヨーク以外の証券取引所で公募価格を出すのは(これが)初めてです。3年前には想像もできなかったことを実現しました。世界の変化とは不思議なものです。
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