僕が最初に起業した頃、日本のWebプログラミングのパイオニアだった小飼弾さんほか、IT界のカリスマ的な人材を何人も会社に招へいした。彼らと一緒に仕事したい若くて有望な技術者たちが集まり、事業は急速に拡大した。
宇宙事業のインターステラテクノロジズ社では、別の会社に就職が決まっていた稲川貴大さんをスカウトして、社長に就いてもらった。その後、彼の人格に魅了された若者が何人も入社して、ロケットビジネスのチームとしての足場が固まっていった。
優れたメンバーが集まったおかげで、僕がやっていた大半の雑務を任せられた。好調な部門には、ほとんど口出ししなかった。
出すとしても、その部門のプロダクトのユーザーになった視点で「もっとこうしたら?」という、具体的なアイデアを出した。それが我ながら的を射た指摘だったりする。いい意味で、仕事との距離を取れていたからだ。
客観的な改善点を察知する意味でも、仕事を人に任せることは大事だ。
人を使うときは要所を決めるだけ決めて、変にならない限り干渉せず、丸投げに徹する。それがうまく回っていけば、いい人材によって自然に仕事の質は上がる。自分のやりたいことをやれる時間と機会が、加速度的に増えていくのだ。
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