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パナソニックの“スピード開発”を後押し、Shiftall 岩佐CEOに聞く(後編)家電メーカー進化論(6/8 ページ)

» 2021年05月28日 07時00分 公開

 「製品が1000台売れるまでは、自分でサポートをすればいい。しかしパナソニックでは、どのくらいの数が売れたら1日にどのくらいの問い合わせやクレームが来るのか、サポート部門以外の人は分からない。これは水平分業の弊害でもあるだろう。

 だが我々は、開発から流通、返品、サポート、トラブル対応まで全部見ているので、『販売実績がこれくらいの製品なら、サポート対応も1日10件ない。朝の1時間で返せる量だ』と言うと、パナソニックのみんなはびっくりする。しかし『その量なら僕1人でも返せますね』と返事が来る。机上の空論ではなく、実際にやってきた人の経験、そしてやってきた事実が説得力を持つ」(岩佐氏)

 ゼロイチを実現するためのマインド作りだけでなく、これまでになかった“前例”を作って切り開いていくのだ。

 「パナソニックの社内には、まだ公開していない新規事業創出プログラムが、私の知っているだけで3つ4つあり、それらの多くに私も関わっている。そして我々が培ってきた、さらに現在進行形でやっている新しい取り組み、『ゼロイチといってもやっちゃえば意外に大したことないよ』という情報をみんなに渡している」(岩佐氏)

 またパナソニックが取り組んでいた新規事業を、Shiftallが引き継ぐといったことも進めているという。

 「パナソニック本体でずっと取り組んできたが、本体でやると何十億円のコストが掛かるため、ペンディングになってしまうプロジェクトなどもある。そこに私が目を付けて、これは面白いからShitallで引き取るという取り組みも最近始めている。超大物プロジェクトもあるので、楽しみにしてほしい」(岩佐氏)

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