ホリエモンこと堀江貴文氏が出資する宇宙ベンチャー、インターステラテクノロジズ(以下IST、北海道大樹町)は7月3日、観測ロケットMOMO7号機である「ねじのロケット」を打ち上げた。同機は午後5時45分ころに打ち上げられ、高度約100キロの宇宙空間に到達した。同社にとっては2019年5月に「宇宙品質にシフト MOMO3号機」(以下、MOMO3号機)で民間単独として国内初の偉業を達成して以来、2度目の宇宙空間到達となる。
同社はこの1年間、ロケットの打ち上げをせずに、MOMOを全面改良した「MOMOv1」(モモブイワン)の開発を続けてきた。IST取締役の堀江氏は同日に実施した記者会見で「(昨年夏以来)打ち上げが1年間できず、v1の開発に集中するのは苦渋の決断だった。今回(完成させた)MOMOv1の初号機で打ち上げを成功させた意義は大きい」と胸を張る。
ISTではMOMO3号機以降の打ち上げで、機体トラブルなどが続いていた。その後、新工場を建設したり、社員数を60人程度まで増強したりするなど組織体制を整備してきた。同社の稲川貴大社長は「今回の打ち上げで取れたデータなどを生かし、今後はMOMOシリーズの量産化を目指したい」と話した。
「たくさんの社員が入ってきて非常に強い組織が作れた。(社員の)皆が思っている通りに打ち上げもできた。天候以外の理由で打ち上げが滞ることなく、(実施予定日の)初日に打ち上げられたことも地味にすごいこと。その背景には、技術的に失敗しない運用体制が構築できたことがある。設計から製造、運用に至るまでチームとして確固たる体制ができたことの表れだ。1年かけて大きく成長できた。次世代機ZEROの開発にもMOMOの開発で習得したノウハウを生かせると考えている」
堀江氏が会見でこのように語った。また「正直、機体の動作はパーフェクト」(堀江氏)と笑みも見せた。同社の植松千春開発マネジャーも開発の道のりをこう振り返った。
「チームが強くなったと感じている。社員数もMOMO3号機打ち上げ時の倍になった。メンバーがそれぞれの知恵を振り絞って開発を進められている。強いチームができているのでMOMOの量産化、ZEROの開発にも弾みをつけられる」
同社は打ち上げ実施日を明らかにしていないが、今夏にMOMO6号機である「TENGAロケット」の打ち上げを控えている。また、23年度までに打ち上げるとしている超小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」の開発も進めており、今回の打ち上げ成功を糧に事業強化を進めていく。
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