今年、東海道・山陽新幹線の会員制ネット予約サービス「エクスプレス予約」はサービス開始から20周年を迎えた。スマートフォンすらなかった時代に始まったサービスは、進化とともに会員数を順調に増やし、年会費無料のスマートEXの会員数を含めて現在800万人超となっている。
JR東海は23年夏に、新幹線と一緒にホテルや旅先の交通手段、観光プランなど、旅行全体をシームレスに予約・決裁する「EX-MaaS(仮称)」のサービスを開始すると発表している。
それに先駆けるかたちで11月にEXサービスの画面からリンクする「EX 旅のコンテンツポータル」サイトを開設。ホテル、観光プラン、交通サービス、ビジネス向けサービスをEXサイトからスムーズに購入できるようにした。
「EX-MaaS(仮称)は、当社営業施策の中で、もっとも重要な施策の一つ」(前出・福井氏)とのことで、「推し旅アップデート」キャンペーンのコンテンツは、この「EX 旅のコンテンツポータル」サイトでしか購入できないようにしてある。
JR東海はそれほど「推し」の力を高く評価し、注目しているのだろう。確かに同社の主力である東海道新幹線におけるビジネス以外の利用シーンを考えると、「京都や奈良好き(推し)が京都、奈良へ行く」「アイドル好きが各地のコンサートに遠征する」「サッカー好きがアウェーの試合を観戦しに行く」など、「推し」との相性は良いように見える。
アイドル好きやアニメ好きなど高い熱量をもった消費者は、自身の行動をSNSへ投稿したり、口コミサイトなどで積極的に書き込んだりするなど、「拡散力」「影響力」は強い。また、そのような消費者はリピーターとなる確率も高く、受け入れ側施設にとっても有難い存在だ。
人それぞれが持っている「推し」をアップデートさせて魅力的なコンテンツに仕上げていく――。「推し」の対象となるものは無数にあり、この試みには広がりが見られそうだ。
EXサービスのアップデートとともに、アップデートされた「推し旅」。同社の売り上げ向上に寄与するか。
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