11月1日、JR東海は「のんほいパーク」(豊橋市)の名誉「象主」になれるプランを売り出した。このプランが30万円と高額であったことなどがメディアで取り上げられたこともあり、筆者が広報に問い合わせたところ、「6枠に対して46人からの申し込みがあり完売となった」という(抽選となる)。
動物園がエサ代の確保に四苦八苦する中、半額にあたる約15万円が象のエサ代に充てられる社会性の高い企画だった。その中には野生のアジアゾウの危機的な状況についての講演が含まれ、飼育体験もでき、誕生日にフルーツバスケットをプレゼントしたり、オリジナル象主名刺をプレゼントされたりなど「面白さ」もミックスされている。
JR東海は、新型コロナウイルスの感染拡大後、キャンペーン「ずらし旅」を打ち出し、11月からは新たなキャンペーン「推し旅アップデート」を展開するなど、積極的なPR姿勢を示している。
ずらし旅は、定番の旅から時間、場所、旅先での行動などをずらすことにより、新しい発見を楽しみ、気になる密も避けようというコンセプトだ。コロナに立ち向かうのではなく、コロナという現実を受け入れた上で企画した戦略といえる。
推し旅アップデートも、コロナ禍で「推し」のアーティストやスポーツチームにリアルに接する体験がなかなかできない状況を受けて、感染対策やコンテンツそのものの内容をアップデートしたかたちで打ち出すキャンペーンだ。「象主」プランも同キャンペーンの目玉の一つとして造成された。
直近で、コロナが収束状況にあるとはいえ、これまで通りの一箇所に誘って密をつくりかねない観光キャンペーンを打つことは難しい。観光においても新たなかたちが求められており、JR東海は積極的に新たなかたちを模索しているように見える。
実際、同社はどのような観光キャンペーンを展開しているのか。
「ずらし旅、推し旅アップデートキャンペーンは、JR東海沿線各地で展開していますが、ずらし旅については、現在は『秋のしずおか元気旅』の名称で静岡県を重点エリアとして展開しています」と、同社営業本部観光開発グループの小池奏里氏は話す。一体どのようなコンテンツを打ち出しているのか。
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