30万円「象主」の権利は完売 コロナ受け入れたJR東海が描く次の一手観光復活夜明け前(5/5 ページ)

» 2021年12月08日 16時46分 公開
[武田信晃ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

「意外なコンテンツ」発掘の裏側

一連のキャンペーンで取り上げられているコンテンツは、あまり知られていないものが多い印象を受ける。どのようにして「知られていないずらしコンテンツ」を発掘しているのか。

 その秘訣について同社に尋ねたところ、昨年7月、静岡に観光開発事務局を設置したことがポイントの一つだという。ローカルに根差した観光開発事務局が日ごろから自治体や各施設とやりとりをすることで、観光開発のヒントや有用な情報を集め、それを元に取り上げるコンテンツを決定しているそうだ。観光開発事務局は愛知や京都にも設置されていて、愛知県のキャンペーンでも名古屋城や熱田神宮といった定番ではなく、アイスサウナ、タコをメインコンテンツに据えて今夏、話題となった

 また、「秋のしずおか元気旅」キャンペーンについては、静岡県、静岡県観光協会と一緒になって観光開発、キャンペーンを展開していることも特徴の一つで、観光誘客は着地間自治体競争の面が強い。beforeコロナでは、東海道新幹線は年間約1.7億人を運ぶ輸送機関であり、自治体から見ると同社と組むメリットはある。

 第6波、新たな変異ウイルスであるオミクロン株などへの警戒感が依然として残っているものの、足元は感染状況が落ち着き、GoTo再開を控え、観光業界は復活夜明け前の様相も呈してきた。

 ただ、コロナによる環境変化で顧客ニーズも変化したことから、当面コロナ前と同じ規模でのキャンペーン展開というわけにはいかないだろう。コロナに立ち向かうのではなく、コロナという現実を受け入れた上で新たな戦略を立てたJR東海の観光キャンペーンはどこまで広がりを見せるか。

前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.