JR東海が喚起する旅行需要 寒さ続く冬の京都で打ち出した「ととのい」戦略コロナ禍での巻き返し(1/3 ページ)

» 2022年03月02日 13時37分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 サウナや銭湯に入ることで、心身共にリフレッシュする楽しみがちょっとしたブームになっている。こうしたリフレッシュ方法は俗に「ととのう」と呼ばれており、2021年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされた。まさに、今話題となっている言葉だ。

「ととのう」人気にあやかろうと、JR東海が打ち出したのは?
京都市北区の銭湯「船岡温泉」が舞台

 この「ととのう」人気にあやかろうと、JR東海は「ととのう」をコンセプトにした京都の観光キャンペーンを打ち出している。「禅と湯 ととのう京都」と題したもので、JR東海が1993年から実施しているキャンペーン「そうだ 京都、行こう。」の1パッケージとした。

 サウナを設置している京都市内の銭湯を巡り、そこで「ととのう」ことができるようになっている。加えて、新たな「ととのう」方法として仏教の「禅」を打ち出していて、京都府内の臨済宗、曹洞宗、黄檗(おうばく)宗のお寺での坐禅体験を提供する内容となっている。

 同社は「禅と湯 ととのう京都」を体験するための「ととのうセット」を旅行商品として販売。現地購入(3月13日まで)と事前購入(3月10日まで)の2方法を提供する。現地購入では「ととのうセット」をJR東海ツアーズ京都支店、JR東海ツアーズ京都駅新幹線中央口支店で直接販売している。価格はどちらも2000円に設定し、利用期間は3月13日までとした。

ととのうセット

 事前購入では、JR東海がコロナ禍で打ち出している新しい観光様式「#ずらし旅」のWebサイトや、パソコンやスマートフォンで新幹線の切符などを予約購入できるポータルサイト「EXサービス」で販売している。

 事前に購入した場合でも、購入した本商品を「ととのうセット」と引き換えるためには現地購入と同様に、JR東海ツアーズ京都支店やJR東海ツアーズ京都駅新幹線中央口支店に直接足を運ぶ必要がある。

 「ととのうセット」には、坐禅体験を提供する5寺院の「参拝整理券」と、京都府浴場組合加盟店の銭湯で使える入浴券1枚を入れた。さらに坐禅が体験できる寺院や、サウナを楽しめる銭湯だけでなく、飲食店や観光スポットなどを掲載した地図「ととのうMAP」や、入浴施設で使える「『ととのう京都』オリジナル銭湯タオル」を付けている。

「ととのう京都」オリジナル銭湯タオル

 「ととのうセット」に付属する参拝整理券を使える施設は、右京区嵯峨にある天龍寺(臨済宗)や、東山区本町にある東福寺(臨済宗)、左京区南禅寺福地町にある南禅寺(臨済宗)、宇治市にある興聖寺(曹洞宗)、同じく宇治市の萬福寺(黄檗宗)の5寺院だ。いずれの寺院でも、坐禅体験をする場合は参拝整理券のほかに、各寺院で別に定める坐禅体験料を現地で直接納めるようにした。

 入浴券は各都道府県が出している銭湯回数券と同じものとなっていて、京都府内の銭湯施設であればどこでも使えるようにしている。

 今ではサウナを併設する銭湯も珍しくないが、例えば東京都内の場合、各都道府県で定める銭湯の料金(公衆浴場入浴料金)だけだと入浴のみの利用に制限され、サウナの利用には別料金を取る施設も珍しくない。一方、京都府内の銭湯では入浴料金だけでサウナも使える施設が少なくないようだ。

ととのうセットの内容
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