GPS搭載デジカメの短期特集も今回でラスト。第1回では「GPSがデジカメに搭載されるとなにが楽しいのか」、第2回では各社GPS搭載デジカメの方向性を確認した。
とりあえずのラストとなる今回は、GPSデジカメとして最も大切な「素早く」「正しい位置を」を計測して記録できるかについて、チェックしてみることにする。
チェックに利用したのは、ソニー「DSC-HX9V」、キヤノン「Powershot SX230 HS」、カシオ計算機「EX-H20G」、富士フイルム「FinePix F550EXR」、オリンパス「OLYMPUS Tough TG-810」、パナソニック「DMC-FT3」、ペンタックス「Optio WG-1 GPS」の7台。2010年秋モデルである、カシオ計算機の「EX-H20G」をのぞくと、2011年春モデルである。
今回は各GPS搭載デジカメのGPS機能だけに注目してみた。チェックポイントは4つ。
順番に見ていこう。
GPSによる測位には「コールドスタート」と「ホットスタート」がある。
コールドスタートは、GPSユニット側が何の情報も持ってない状態からの測位。上空のGPS衛星を見つけ、それらから得た時刻と軌道情報を元に現在地を計算する。これは時間がかかる。周囲の開けた場所で1分くらい、場所によっては数分かかる。ホットスタートはGPSユニットがすでにその辺りのGPS衛星の軌道情報を持っている状態での測位。これなら数秒で済む。
カメラの電源をいれてすぐ現在地を取得するにはできるだけ「ホットスタート」状態にしたい。電源をいれて10秒以内で測位できれば、GPSの存在を意識しないで使えるだろう。そのGPSの存在を意識させないための工夫を各社が行っている。
最も単純な方法は、電源オフ時でもGPSユニットだけは働かせて定期的に測位し続けることだ。ソニー以外の6社が採用しているが、電源オフ時の測位頻度はメーカーによって違う。
常に測位していれば電源オン時に現在地がすぐ分かる。でもGPS専用機のように1秒おきなんてしてたらバッテリーの減りが早くなる。その辺のさじ加減がポイントだ。
今回の7製品では、ソニーのDSC-HX9Vのみが電源オフ時に測位しない。そのかわり「GPSアシストデータ」なる、GPS衛星の軌道情報データをメモリーカードに持つことで、測位時間の短縮を図っている。
ではテスト。
まずはコールドスタート。GPS機能をオフにしたまま出発し、その日最初の目的地についたら1台ずつGPSをオンにしてから測位完了までの時間を計測。確実に空が見える場所で行ったのだが、測位までの時間にバラツキが結構あったので、4回行った(つまり4日かけた)。
平均して一番早かったのがカシオのEX-H20G。4回テストしたのだが、どの地点においてもコンスタントに、40秒〜1分30秒の間に測位を終えた。キヤノンのPowerShot SX230 HSもそこそこ早かったが、早いときと遅いときのバラツキが激しく、測位に失敗したケースも1度あった。逆に難があったのは富士フイルムのFinePix F550EXR。計4回測ったのだが、そのうち2回は5分待っても測位できなかったのは気になる。
それ以外は大差なし。平均で1分20秒から30秒といったところだ。
問題はソニーのDSC-HX9Vだ。GPSアシストデータを使っているため(今回は持ち出す前にちゃんとアシストデータを更新してから外出した)、見通しがいい場所なら10数秒で測位完了するはずだが、1分以上かかることが多かったのだ。
旧モデル(DSC-HX5V)はもっと速く測位してくれたはず、と、HX5VとHX9Vで同じ場所で比較してみたら、HX5Vの方が早く測位できたのである。個体差なのか、性能が落ちたのかはわからないが今回はそういう結果になった、ということで。
続いてホットスタート(と思われるシチュエーション)。
ちょっとずつ移動しては測位、移動しては測位を繰り返した。カメラの設定はそのカメラが搭載するGPSの最高の性能が出るよう、電源オフ時の測位はオンに、ペンタックスのOptio WG-1 GPSは15秒おきに設定した。
最速は圧倒的にペンタックスのOptio WG-1 GPS。15秒おきに測位してるのだから、バッグを開けたりごちゃごちゃ準備してる間に測位完了しちゃうのだ。測位間隔が短いのは偉大だ。
続いて、カシオのEX-H20G。コンスタントに速く、開けたところでは5秒程度、多少建物に囲まれた場所でも10〜20秒で測位してくれた。キヤノンのPowerShot SX230 HSも数秒程度と速かった。ただし、一度つかまえちゃえば速いけど、失敗することもある、という感じでバラツキが。GPSの仕様は非公開だが、ログを見ると1〜2分おきに測位しているようだ。
富士フイルムのFinePix F550EXRとパナソニックのDMC-FT3、オリンパスのOLYMPUS Tough TG-810は似た感じ。測位に失敗することが多かったのはFinePix F550EXR。うまく測位できたシーンだけで見ると、DMC-FT3 → FinePix F550EXR → TG-810という順番で、早ければ数秒、遅いときは3〜40秒かかることもあった。DSC-HX9Vは相変わらず。1分かかるか、GPSアシストデータが効いたとおぼしきときは15秒くらいでという具合でどうも安定しなかった。
ホットスタート時はできれば10秒以内で測位を完了してほしいところ。そうすると測位完了をほぼ気にしないで撮影できる。
ではGPSの精度はどうか。どれもおおむね半径10メートル以内には収まっていた。たまに大きくハズすカメラもあったが、そのカメラも常にハズすわけじゃなく、そうひどい結果でもない。
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