PENTAXの一眼レフといえば、老舗で質実剛健なイメージと、カラフルでユニークなデザインのカメラを作るイメージがいっぺんに襲ってきてナニが何やら面白いという感であるが、ハイエンド機のK-3はカラバリや個性的なデザインに走らない機能性能重視のシリーズだ。
K-3 IIは「フィールドカメラ」と称するように、質実剛健系で防じん防滴で頑丈で、カメラを抱えて外に出て写真を撮るのだ、というイメージなのだが、よく見ると、PENTAXしかやってないようなデジタルならではのいろんな技が効きまくってて面白いのである。
今回の大ネタは「リアル・レゾリューション・システム」とGPSだ。
PENTAXのKシリーズは、イメージセンサーを動かして手ブレをキャンセルするボディ内手ブレ補正をずっと搭載してきた。面白いのは「(ブレをキャンセルするために)イメージセンサーを動かす機構」を他の用途に使おうと考えたことろにある。
最初に登場したのが「構図微調整」と「自動水平補正」。
構図微調整はイメージセンサーを手動で動かして構図を微調整する機能。自動水平補正は内部のセンサーを利用し、カメラが水平になるようセンサーを傾ける機能。
続いて、「ローパスセレクター」が用意された。ローパスフィルターレスのカメラでモアレの発生を抑制するために、撮影の瞬間、イメージセンサーをわざと微少に動かしてローパスフィルターを入れたのと同じ効果を持たせた。
ディテールが少し曖昧になるが、それはローパスフィルター搭載カメラでも同じこと。K-3 IIではローパスブラケットという機能があるので、それで効果の度合いをチェックしてみたのがこちら。ローパスセレクターレス、ローパスセレクター1と2(2の方が強くかかる)、である。
モアレは画素ピッチが狭いほど出づらくなるので、APS-Cサイズで2400万画素だとほとんど気にしなくていいレベルだから、ローパスセレクターブラケットで撮った中からモアレが出てるカットをずいぶん探しました。やっと見つけたのでこちらに。
これだけでは分からないだろうから、モアレが出た部分を等倍で見比べみよう。
オフでは窓の網戸部分(だと思う)にモアレが出てるが、オンにするとディテールが少し弱くなりモアレは消えている。
そして今回、K-3 IIであらたに搭載したのが、センサーを少し(1画素分)ずつ微妙にずらしながら4枚撮影して合成することで、解像感を高める「リアル・レゾリューション・システム」だ。
理屈を書くと面倒だが、今の「ベイヤー配列」のイメージセンサーは光だけを感じるセンサーの上にRGBそれぞれのフィルターを付けて、この素子はR担当、この素子はB担当と分けて色と光を認識させる。GはRとBの倍の数を割り当ててあるので、4画素でやっとRGBそろったフルカラーの絵になる。それでは実質的な画素数が4分の1になるので、画素を補完してフル画素(K-3の場合は2400万画素)の絵を作り出している。
リアル・レゾリューション・システムは、1回の撮影で1画素分ずつずらしながら4枚撮影することで、各画素にリアルにRGBのデータを得、リアルな2400万画素の絵を作ろうという技術だ。
撮影時に「ほんのわずか」(つまり1画素分)でもカメラが動いてはダメなので、カメラ本体のブレを防ぐために電子シャッターを使っている。もちろん手ブレ補正は効かない。
どのくらいの差があるのか、ローパスフィルタブラケットで撮った絵と見比べてみる。
等倍でローパスセレクターオフのものと比べると、その差は笑っちゃうほどでかい。「これがリアルな2400万画素機なのか!」と思わざるを得ない、というレベル。ここまで差があるとは驚きだ。
さすがディテールがしっかり出ている。ものすごい差だ。ただ、三脚は必須。手持ちではどんな晴天下だろうと無理である。
今回は細身のカーボン三脚を使ったが、それでギリギリ。廉価なトラベル三脚では難しい。できるだけ本格的な三脚を使いたい。
撮影時はしっかりした足場で三脚にセットした上でリモートレリーズやセルフタイマーを使うのが賢明だ。気楽に手でシャッターを押したものとセルフタイマーで撮ったものを見比べると、いくら三脚を使っても適当に撮ってはいかんというのが丸わかり。
風も大敵。等倍で見なきゃ分からない程度のブレであっても、わざわざリアル・レゾリューションで撮るってことはディテールの解像感がほしいわけで、その辺はシビアに見るべし。
スタジオや室内での撮影、あるいは屋外でも風の影響がないシーン向け。それでもこれだけの解像感を得られるのはデカイ。シグマのDP Quattroシリーズに迫るレベルだ。
ちなみにオリンパスのE-M5 Mark IIのハイレゾショットも同じ仕組みを採用しているが、こちらは8枚連写+合成で、画像サイズそのものを上げた写真を作る。こちらも三脚は必須だ。
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