新機能でもう1つ注目すべきはGPS。GPSを搭載して位置情報や撮影の方角を記録できるほか、GPSログ機能もある。ログはKML形式で記録され、あとからパソコンなどで利用可能だ。
GPSの精度はけっこう高い。最初の1回は取得に時間がかかるため、フィールドワークに出るのなら現地に着いたらすぐログ取得を回するのがいいかと思う。
今回作例を撮るために移動したGPSログを国土地理院の「電子国土Web」に貼り付けてみた。
ではカメラ本体の話も少し。
K-3 IIはPENTAXのハイエンドAPS-Cサイズ一眼レフ。ハイエンド機だけあって剛性感があって作りもしっかりしている。
イメージセンサーは2400万画素でローパスフィルターレス。ボディ内手ブレ補正機構を搭載し、補正効果も約4.5段分と進化した。ジャイロセンサーの進化により流し撮りにも自動的に対応する。
AFは27点とハイエンド機としては多くないが、そのうち25点がクロスセンサーで反応はいい。AFも高速化されたが、どのくらい快適かはレンズによる差が大きいので注意。
シャッタースピードは1/8000秒まで。ISO感度は最高51200まで用意されているが、特に高感度に強いという感じではなく、高感度時の絵は多くのAPS-Cサイズ一眼レフと同等レベルだ。
ボディはコンパクトながら必要不可欠な操作系はしっかりそろっていてかなり使いやすい。
前後にある電子ダイヤルに加え、上面にはISOと露出補正のボタン。背面と側面にもほどよくボタンが配置してあり、慣れると必要な機能にさっとアクセスできる。
操作系にはPENTAXらしさがあふれている。撮影モードダイヤルはP/Av/Tv/M系の各モードに加え、ペンタックスならではのSvモード(ISO感度優先オート)、TAv(絞り・シャッタースピード優先オート)の2つも備えるのが特徴。
TAvは絞りとシャッタースピードをマニュアルで合わせると、それに応じてISO感度が自動的にセットされるもの。
マニュアル露出+ISO感度オートと同じじゃないかという越えもあるが、「マニュアル露出にしながら、どうも露出が狙い通りにならない、と思ったらISO感度がオートになってた」経験を持つ身からすれば両者を分けられるのはありがたくて便利。
操作系で不満だったのは、AF測距点セレクト機能。背面右下にあるボタンを押すと十字キーでセレクト可能になるのだが、毎回十字キーがどちらの状態にあるか確認する必要があり、さっとAF測距点を動かしたいときにとまどう。
デジタルならではの機能にもPENTAXらしさがある。
HDR、暗部補正、ハイライト補正、各種レンズ補正は当然として、カラーモードやデジタルフィルターもどのモードでも利用可能。
バッファ内に「最後に撮影した写真のRAWデータ」を残してあり、ホワイトバランスやカラーモード、フィルターなどを変更する際、最後に撮影した画像を見ながら効果を確認できる上に、最後に撮影した1枚のパラメータを変更してその場で保存することもできる。
撮影したあとに「あ、ホワイトバランスをもっとこうすればよかった」とか「これにあのフィルターをかけたら面白かったかも」と思ったとき、その場で実行できるのだ。
PENTAXスユーザーにはお馴染みだが、これはよいアイデアだ。
メディアの扱いもハイエンド機らしい。SDメモリーカードスロットがデュアルで用意されており、バックアップ記録などができる。
以上、K-3 IIらしさ、ペンタックスらしさを中心に見てきたが、それ以外にもファインダーはけっこう見やすいし、連写も3段階速度を選べて最高約8.3コマ/秒と十分なレベルだし、バッテリーも公称で約720枚と持ちもそこそこいい。
基本性能は非常に高く、コストパフォーマンスも高く、デジタルならではの面白さも詰まった個性的なハイエンド一眼レフだ。
このクラスになるとレンズラインナップも含めて、目的や用途に合致しているかどうかまで検討する必要があるけれども、カメラとして魅力的なのは間違いない。将来、リアル・レゾリューション撮影を手持ちでできるようにならないかなあと夢想しつつ。
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