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» 2009年12月15日 08時00分 公開

エコシステム・マーケティングの威力:自社メディア連合がもたらす地殻変動 (2/2)

[本荘修二,ITmedia]
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出現する自社メディアの連合軍

 エコシステム・マーケティングが向かう先には、どのような将来が待っているのか。日本コカ・コーラは既に自社サイト「コカ・コーラ パーク」によって、750万人の消費者と直接つながっている。大きな会員ベースを保有する企業は、数年後にはエコシステム・マーケティングのノウハウや経験を獲得しているだろう。

 1000万人規模の会員ベースを持つ企業でも、対話型のコミュニケーションで心を通わせることで、マインドシェア(消費者が心の中に占める企業やブランドの割合)の高い会員を多く獲得できる。これを企業の資産として、他分野の有力なパートナーと連合を組むと、自社の強みを増強させることができる。マーケティングにおける拡大再生産の循環を生み出すことも可能だ。

 有力な自社メディアを持つ企業が連合軍を形成し始めれば、マーケティングにおいてこれといった強みを持たず、エコシステム・マーケティングの実践に出遅れた企業と差は開く一方だろう。

 強い自社メディアを持つ連合軍の企業とつながりを持つ消費者にとって、それが楽しく心豊かな体験に結び付くならば、それは十分メリットになる。企業が提供する製品やサービス以外の付加価値の中で、消費者をもてなし、生活に価値を提供するコミュニケーションは大きな比重を占めるようになる。

 従来のマスマーケティング頼みではなく、企業が消費者と直接やり取りをするマーケティングモデルが不可欠となるだろう。これまで広告主と呼ばれてきた事業会社は、自社メディアを活用したマーケティングを展開しながら、広告収入を得るようになる。当然、既存のメディアや広告会社は広告の枠売りを超えて、企業のパートナーへと進化せざるを得ない。

 事業会社が大規模な会員を誇る自社メディアを持つことは、メディア業界にとっても大きな意味を投げ掛ける。ある大手テレビ局の担当者は「強力な自社メディアを持った企業が幾つか現れて、スターアライアンスのような連合を作ったら、われわれのような既存メディアの位置付けは大きく変わるだろう」と懸念する。メディアと企業の関係は今後、確実に変わってくると考えられる。

 現状では、マーケティング活動を展開する企業は、メディア関連企業をパートナーにすることが多い。だが今後は、強い自社メディアを基点に多数の消費者と直接つながりを持つ事業会社が増えていく。この状況にどう対応するかによって、メディア間にも差が生じるだろう。


 エコシステム・マーケティングは発展途上にあるコンセプトだ。仮説に基づいた議論も含まれており、本連載で言及したマーケティングの手法が普及するのは少し先のことかもしれない。だが、実験はほかの企業に任せて、エコシステム・マーケティングという手法が確立してから対応する姿勢でいると、「時すでに遅し」かもしれない。既に取り組みを始めている先進的な企業は、明確な成果を挙げているのだから。

著者紹介:本荘修二(ほんじょう しゅうじ)

本荘修二

本荘事務所代表として、新事業やIT関係、マーケティングを中心に経営コンサルティングを手掛け、企業のアドバイザーや社外役員を務める。多摩大学大学院(MBA)客員教授。日本コカ・コーラの江端浩人氏との共著「コカ・コーラ パークが挑戦する エコシステム・マーケティング」のほか、「大企業のウェブはなぜつまらないのか」など著書多数。東京大学工学部卒業、ペンシルベニア大学MBA、早稲田大学博士(学術・国際経営)。




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