PaaS対応のパブリッククラウドで顧客のアプリ開発を支援Maker’s Voice

NTTコミュニケーションズのパブリッククラウドサービスがこのたび大幅な機能拡充を図った。アプリケーションの実行環境をクラウドで提供できるようになったという。

» 2013年04月17日 11時00分 公開
[ITmedia]

アプリケーションの実行環境をクラウドで提供

 NTTコミュニケーションズが2012年3月から提供しているパブリッククラウドサービス「Bizホスティング Cloudn」は、顧客ニーズの高まりを受け、このたび大幅な機能拡充を行った。最新版を武器に、クラウド最大手である米Amazonの「Amazon Web Services」を追随していく。

 新たに追加したのは大きく以下の4つ。

  • 急激なシステムへの高負荷、アクセス集中にも対応できる拡張性の高いロードバランサや仮想サーバのオートスケール機能を実装。
  • ゾーン分散して仮想サーバやデータベース(DB)をマルチゾーンに構築。3分散ストレージやDNS(Domain Name System)、ロードバランサのトラフィック分散機能と組み合わせて、冗長性に富んだシステム構築を実現。
  • PaaS(サービスとしてのプラットフォーム)、DBサービス。
  • サービス監視や一括構築などのセルフマネジメント機能を実装。

 特に同社が強調するのが、PaaS機能をカスタマーポータルから直接購入、利用できるようになったことだ。PaaS機能の追加によって、「ミドルウェアレイヤ以下のアウトソーシング志向の強いユーザー企業にメリットをもたらすだろう」と、同社 クラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門 担当課長の森田泰正氏は強調する。

 具体的には、OSの上にApache TomcatというWebアプリケーションを動かすためのプラットフォームを入れる必要がなく、JavaやRubyで作ったプログラムをそのまま載せて動作できるような実行環境ごと提供することで、ユーザーはよりアプリケーション開発・運用に注力できるようになる。ミドルウェアまで含めたアプリケーションの実行環境をクラウドで提供するPaaSの商用サービスは珍しく、コストパフォーマンスの高さも自信があるのだという。

顧客をグローバルレベルで支える

 こうした新機能を踏まえ、改めてCloudnの強みとはどこにあるのか。

NTTコミュニケーションズ クラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門  担当部長の奥平進氏(左)と、担当課長の森田泰正氏 NTTコミュニケーションズ クラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門 担当部長の奥平進氏(左)と、担当課長の森田泰正氏

 「グローバルで均等なサービスレベルを提供できること」――。こう話すのは、同社 クラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門 担当部長の奥平進氏だ。Cloudnは最初に米国でサービスが始まったもので、その後、日本市場で展開された。サービスには、同社がグローバルで保有するデータセンターやネットワークが活用されており、このためユーザーは世界中どこでも同じサービスを使うことが可能なのだという。「そうした基盤を提供する中で、さまざまなメニューをスピード感を持って打ち出していくことが重要だ」と奥平氏は力を込める。

 また、そのメニューラインアップの充実さもAmazonに引けを取らず、大きな強みになっているという。とりわけ上述したPaaSの新機能は、既存ユーザーはもとより、パブリッククラウドの導入を検討する企業に対して大きくアピールしたい構えだ。実際、NTTのグループ各社が提供しているクラウドサービスの基盤として、Cloudnが採用されているケースも少なくないのだという。

 加えて、価格面でも競合他社サービスとの差別化を図っている。「一般的なパブリッククラウドサービスだとトラフィック課金があるものが多い。Cloudnはトラヒック課金がなく、仮想サーバーも月額上限付きの従量制課金を採用しているため、リソースに応じたコストの見積りが容易で、予算化して利用しやすい」と森田氏は説明する。

 現在、主なユーザーは、動画共有サービスなどを提供するコンテンツプロバイダーやWebサービス事業者など、トラフィックの急増に対して柔軟な拡張が求められる企業が多いが、今回の機能拡充によって、社内ITシステムの開発や運用に多くの人員を割けない中堅・中小企業など、さらなるユーザーの広がりが期待できるとした。

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