「あなたの夢が叶いますように」 フィンランドの新興企業・Dreamdoが起こす革命(2/2 ページ)

» 2014年03月12日 08時00分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
前のページへ 1|2       

企業のブランディングツールにもなる

 Dreamdoは現在、10人のチームで動いている。半分が技術、半分がコンテンツにかかわっている。この1年、招待ベースのクローズドベータとしてサービスを運営してきた。約15カ国から3400人程度が利用しており、同じぐらいの数の夢が生まれたという。夢は公開することも非公開にすることもでき、個々の夢には、その計画段階である「Dreaming」、実現中の「Doing」、完了の「Did」のラベルが貼られている。

 Webサイトに広告はない。Dreamdoのビジネスモデルは、企業ユーザーへの有料サービスだ。既にNGOのUNICEF Finland、Finnair(フィンランド航空)や地元の大手コンフェクショナリーFazerなどが利用している。料金はスタートアップ、NGO、その他企業の3段階に分かれており、年間利用料金はそれぞれ250ユーロ(約3万5000円)、1000ユーロ(約14万円)、2500ユーロ(約35万円)、これがDreamdoの主要な売り上げとなる。

 企業は3つのアプローチからDreamdoを利用できる。これまで何かすごいことをしたか(社史)、現在何か素晴らしいことに取り組んでいるのか、慈善活動をやっているのか。CSR(企業の社会的責任)活動は企業のWebサイトを入念に見ない限り知られないことも多い。Dreamdoを利用すれば、CSR活動を簡単に分かりやすく顧客や投資家に伝えることができるという。

Finnairでは「CO2排出を削減する」という取り組みをDreamdoで紹介している

 Finnairは、「CO2(二酸化炭素)排出量を減らしたい」というメッセージをDreamdoのプロジェクトに掲げ、そのための取り組みを明示している。ページには、同社が機材などに利用する素材やCO2に関する指標などが書かれており、具体的な取り組み内容が一目で分かる。もちろん、CSRでなくてもよい。ニューヨークのチョコレートメーカーは、「最高のチョコレートを作りたい」を夢に、仕入れているカカオ豆の情報など、夢に向けた取り組みをDreamdoで紹介している。翻訳サービス機能もあるので、自社がやっていることを世界中に伝えられる。

 企業が利用するメリットはこれだけではない。Dreamdoを利用すれば、企業はコンテンツを投稿するだけで見栄えの良いページを作ることができる。「Webサイト構築を外部に頼むよりも効率が良い」とトゥオミネン氏。Dreamdoは有料でキュレーションサービスも提供するが、現時点ではほとんどの企業が専門のスタッフなしにDreamdoを利用しているという。「このように、Dreamdoはメディアプラットフォームでもあるし、次世代のマーケティング・ブランド構築プラットフォームにもなり得る」と意気込む。

日本市場への参入も狙う

 Dreamdoは今年を拡大の年と位置付けている。これまでは自己資金とエンジェル投資家の出資で事業を運営してきたが、今後は外部の投資家を募る。現在、フィンランドのほか、ニューヨークとモスクワに拠点を持つ。近いうちに香港にもオフィスを構えたいとしている。市場としてはロシアを強化し、香港、そして日本にも参入を果たしたいという。

 日本を選ぶ理由は、フィンランドと日本の文化的類似点に着目するからだ。「フィンランド人にとって幸せとは複雑なもので、今自分が幸せと感じていない人が多い。日本人も同じだと聞いている。通勤電車でDreamdoのストーリーを見て、パワーをもらってほしい」とトゥオミネン氏は期待する。

 また、ユーザーが夢を実現するための課題になり得る資金については、将来的にクラウドファウンディング機能を提供したいとする。自社内でクラウドファウンディングツールを提供するか、外部サービスと連携するかを模索している最中だという。

 「たくさんの企業や人が、夢を持ち、行動するのを助けたい。世界には驚くようなストーリーが山ほどある。われわれはそれを語ることができるプラットフォームを提供する。自分と同じような立場の人が面白いことをやっている、夢を実現しようとしていると知ることで、良い循環が生まれるだろう」(トゥオミネン氏)

 Dreamdo自身の夢も始まったばかりだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ